福島第一廃炉・汚染水対策、広報用の動画・パンフレットに関するアンケーと結果
経済産業省はこのほど、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に関する広報用の動画とパンフレットについて実施したアンケート結果を公表した。地元関係者とのコミュニケーションに関する評議会で4月20日に説明されたもの。対象となった動画、パンフレットはともに、2015年度に制作されたもので、事故発生当時の状況、廃炉に向けた各種対策の進展、労働環境の改善、避難住民への支援、食の安全確保などについて説明している。アンケート調査は2015年2月に、福島県居住と県外居住(避難者含む)の各1,000名に対し、インターネットを通じて行われた。
調査結果によると、動画については、「普段カメラで写されていないようなものも、映像で説明されていてわかりやすかったか」との問いに対して、「そう思う」と「ややそう思う」との回答が福島県居住者で68.5%、県外居住者で71.6%だった。また、福島第一原子力発電所の廃炉作業に関して「事故直後からかなり前進している」と「事故直後からある程度前進している」との回答を、動画を見る前後で比較すると、福島県居住者で見る前が60.1%、後が76.4%と、15ポイント上昇、県外居住者では見る前が51.6%、後が80.0%と、30ポイントの大幅上昇となっていた。
パンフレットについては、「普段報道されていないような内容についても、文章や写真や図で説明されていてわかりやすかったか」との問いに対して、「そう思う」と「ややそう思う」との回答が福島県居住者で56.0%、県外居住者で62.9%だった。また、動画と同様に、廃炉の進捗状況に関して「前進している」との回答が、パンフレットを見る前より後の方が多くなっており、特に県外居住者で大幅な上昇を見せていた。
動画、パンフレットを見た後の意見では、「TVニュースで大きく報道されるのは、汚染水が漏れたとかネガティブなニュースだけなので、ここまで復旧したということがわかりやすく説明されておりよかった」といった好評の一方、「原子炉内部の状況がまったく見えない」、「がれきの撤去先とその後が気になる」など、作業の進展に対する疑義や廃棄物処理への懸念の声もあがっている。
また、情報源に関する問い(複数回答)では、福島県居住者、県外居住者とも、テレビ番組が約8割と最も高く、新聞記事、ニュースサイトがこれに次いでいた。特に、福島県居住者では、新聞記事の他、自治体のホームページ・広報誌、回覧板、家族・友人・知人などが県外居住者と比較して高かった。
アンケート結果を受け、経産省では、動画、パンフレットについて、さらに改善の余地はあるものの、「見てもらう」、「読んでもらう」ことによる効果があったと評価している。
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