ロシア:原子力国際展開のさらなる促進でマーケティング会社を3分割
ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は6月1日、傘下の国際展開促進・マーケティング会社であるルスアトム・オーバーシーズ社の機構改革計画を公表した。創設当時の2011年8月に設定した目標が首尾良く達成されたことから、同社を3分割してそれぞれの事業に集中させるとともに、国外の原子力新設プロジェクト獲得を一層加速するのが狙い。ロスアトム社は昨年10月には、国際的な原子力市場におけるロシアの競争力強化のため、傘下の原子力エンジニアリング企業を統合。原子力国際展開のさらなる促進に向けて、ロシアは国を挙げて本格的な準備を整えつつある。
分割後の3社の概要は以下の通り。
(1)新生ルスアトム・オーバーシーズ社:ロシア原子力産業の代理店として、国外の原子力発電所建設プロジェクトに対するロスアトム社の統合的な提案を世界規模でプロモートしていく。新社長として、電力エンジニアリング大手のAEMテクノロジー社のE.パケルマノフ社長が指名された。現ルスアトム・オーバーシーズ社のD.アリエフ社長は異動が決定しているものの、ロスアトム社内に留まるかは不明である。
(2)ルスアトム・インターナショナル社:「建設・所有・運転(BOO)」契約に基づいて建設する発電所のプロジェクト会社株主として、国外の原子力発電所の建設・運転を管理。主な事業はトルコのアックユ発電所計画とフィンランドのハンヒキビ発電所計画のプロジェクト管理で、社長にはウクライナでエネルギー副大臣を務めた経験のあるN.コンスタンティノフ氏が指名された。
(3)原子力の非エネルギー事業を担当する新会社:年末までに創設予定。
ロスアトム社のK.コマロフ第一副総裁によると、ルスアトム・オーバーシーズ社創設時のタスクは、原子力発電所建設プロジェクトの国際的なプロモーションとロスアトム社による統合的な提案の開発、および原子力の非エネルギー分野におけるロスアトム社の新しい取り扱い品目の精緻化。数年が経過して同社はこれら3つの側面すべてで成功を納めるとともに、多角的な事業活動を展開してきた。こうした活動は物理的に単一の企業内では収まり切れず、3つに分離してそれぞれに集中すべき時が来たと説明している。