英国:ウェールズ政府が高レベル廃棄物深地層処分場サイトの選定プロセスでパブコメ

2015年6月3日

英国の原子力関連サイト 出典:「世界の原子力発電開発の動向」

   英国の原子力関連サイト
出典:「世界の原子力発電開発の動向」

 英国南西部ウェールズ地方の自治政府はこのほど、同域内の原子力サイトから出る高レベル放射性廃棄物(HLW)は域内で深地層処分するとの方針を決定し、受入サイトを合意ベースで選定するプロセスを5月19日から3か月間のパブリック・コメントに付した。

 英国政府は2008年、6段階の深地層処分場(GDF)サイト選定プロセスを示した白書をウェールズなどの自治政府と共同で発表した。しかし、受入に関心を示したカンブリア州の2都市が州政府の反対により撤回表明したことから、2014年7月に北アイルランド政府とともに改定版の選定プロセスを公表。2016年まで2年間の初期活動として適性のある地層の予備選別などを実施し、受入に関心をもつ自治体との正式な協議はそれ以降に行うという2段階プロセスを提示していた。

 スコットランド政府がHLW発生サイト近隣の地表に近い施設で長期管理すべきとしているのに対し、ウェールズ政府は2008年白書の段階で域内における深地層処分に対する立場を保留していた。2014年4月には現行政策を見直すべきか、その場合はどのような処分オプションを支持すべきか等の点で情報提供を呼びかけており、より広範な審査を独自に実施。複数の処分オプションの検討とともに昨年実施したパブリック・コメントの結果も踏まえ、HLWを安全かつ長期的に処分する方法として深地層処分を採用すると明言した。また、自発的に協議に入る意志を持った自治体との連携に基づく地層処分のみがウェールズでは実現可能とするなど、処分方法のみならず選定アプローチについても2014年白書の方法を支持している。ただし、自治体との交渉成立までには10年以上の長期間を要するため、ウェールズにおけるGDF計画では2014年白書の初期活動をウェールズ個別の計画体制で適宜調整して採用すべきだと指摘。2014年白書の情報を利用することはあっても、あくまでもウェールズ域内での協議や情報を考慮した上で最終決定を下すと強調している。