フランス:政府がEDFによるアレバ社原子炉事業の取得を承認
フランス大統領府は6月3日、2大国営原子力企業の再編計画を発表し、財政難に陥ったアレバ社の原子炉事業をフランス電力(EDF)が取得する案を承認したことを明らかにした。オランド大統領とバルス首相のほかにエネルギー、経済、財務、外務担当の各閣僚を交えた同日の会合で決定したもので、フランスにおけるエネルギー自給とエネルギー移行計画、低炭素エネルギー生産を成功させる道筋になると強調。この統合により、意欲的な原子力輸出政策と国内原子力発電所の将来的な更新が可能になるとした。また、政府は必要に応じてアレバ社への新たな資本注入にも応じる考えを表明したと伝えられている。
今後、新設原子炉のマーケティングや設計、建設、プロジェクト管理、燃料関連サービスといった事業はEDFが主導する原子力専門の合弁企業「アレバNP社」に集約されるが、アレバ社も少数株主として留まる予定。この包括的な戦略的連携の詳細条件については、両社が約1か月間の交渉を通じて決定することになる。
かつては有数の優良企業だったアレバ社だが、近年は原子炉契約受注が低迷。昨年の決算では連結純損失が過去最高レベルの48億3,400万ユーロ(約6,300億円)にのぼったが、フィンランドのオルキルオト3号機建設計画の遅延による損失7億ユーロを含めて主要原子力開発プロジェクトで被った追加損失は約20億ユーロに達していた。今年5月には2017年までに15~18%の人件費を削減する計画を公表しており、国内外で解雇される従業員数は6,000人とも予想されている。
また、2009年にアラブ首長国連邦(UAE)の原子力導入計画でフランス企業連合が受注に失敗した際、原子炉の運転・保守で実績のあるEDFの参加が遅れたことが原因の1つと指摘されていた。2011年になると当時のN.サルコジ大統領は原子炉輸出促進に向け、電気事業者をリーダーにメーカーが連携する「チーム・フランス」の結成を原子力産業界に指示。世界の原子力市場のニーズにフランス原子力産業界が対応していくには、EDFとアレバ社が戦略的な意思疎通を図るなど緊密な連携が不可欠との共通認識があった。