韓国:政府勧告受け、事業者が2017年に古里1を永久停止へ

2015年6月17日

 韓国内の全原子炉を所有・運転する韓国水力・原子力会社(KHNP)の取締役会は6月16日、同国最古の原子炉である古里原子力発電所1号機(PWR、58.7万kW)の運転認可を更新せず、現在の認可が満了する2017年6月をもって永久停止することを決定した。産業通商資源省(MOTIE)が同炉の経済性や地域住民の受容性などを考慮し、12日に決定した勧告を受けたもの。今後は認可満了日まで徹底した安全運転を続けるとともに、同国初となる原子炉の永久停止と解体の準備に万全を期すため、チョ・ソク社長をチーム長とするタスク・フォースを起ち上げるとしている。

 発表によると、同日の取締役会では古里1号機の運転を継続した場合の安全性や経済性について議論。福島第一原子力発電所事故後のフォローアップとしてKHNPが実施した主要な安全設備の改善やストレス・テストなど、安全性強化活動を検証した。同炉は2007年に2017年まで10年間の第一次運転継続が承認されて以降、故障停止した件数は5件で、第二次運転継続のための安全性は十分確保されていると確認したという。しかし、経済性については意見が分かれ、エネルギー経済研究院などの分析では黒字が見込めるとの結果が出た一方、運転継続の審査期間長期化による運転時間の短縮や稼働率の低下、地域支援金の増額などの可能性により不確実であるとの意見が提示された。

 長時間の激しい議論の末、取締役会は同炉を閉鎖しても電力需給上大きな問題がないことや、原子力産業の中長期的な発展のためのエネルギー政策推進という戦略的大義を勘案し、MOTIEの勧告を受け入れる最終判断を下した。同炉では2012年2月の定検時に一時的な電源喪失が発生した際の報告が1か月以上遅れたが、MOTIEはこのほかにも、原子力産業界で機器類の安全評価結果の偽造が発覚したことなどを勘案し、国民の原子力への信頼回復のためにも同炉の運転を継続しないよう勧告していた。

 今後はチョ・ソク社長がなるべく早い機会に古里発電所本部を訪問し、従業員に今回の決定趣旨を説明するとともに最後の日まで安全運転を期すよう要請する。KHNPは今回の決定を「大韓民国における原子力発電開発の歴史的転換点」と評価しており、古里1号機を海外からターンキー方式で導入してからアラブ首長国連邦(UAE)に原子炉輸出を行えるようになるまで、40年間という原子力開発の生き証人的存在と認識。同炉により原子炉の廃止措置と廃棄物管理分野の能力と技術を蓄積する一方、廃止措置関連規定の整備や技術開発などのために規制機関や原子力学会、原子力研究院等の機関と協力し、関連産業や原子力発電産業における包括的な競争力を確保していくとした。

 KHNPはまた、後続原子炉の運転継続について準備を体系的かつ切れ目なく行うため、運転認可満了の2~5年前の申請や10年間という継続認可期間など、現行規定に対する改善を政府に提案する計画だとしている。