英規制当局:閉鎖済みのヒンクリーポイントA発電所サイトで安全宣言
英原子力規制局(ONR)は6月16日、南西部サマセット州で2000年に閉鎖されたヒンクリーポイントA原子力発電所(HPA)サイトについて、地元当局が詳細なオフサイト緊急時計画の策定を要求されるエリアは最早存在しないと発表した。同サイトで合理的に発生が予見しうる重大な放射性物質の放出リスクがなくなったことを宣言するもの。同サイトでは、旧型ガス冷却(マグノックス)炉2基(各32万kW)からの燃料取り出しが2010年に完了しており、ONRは廃止措置作業が順調に進展していることを強調した。サイトの最終的な除染まで、マグノックス炉のライフサイクル5段階のうち、HPAは安全貯蔵の準備を行う段階にあり、2013年2月にはHPA内に存在していた2,100トンのアスベストを9年計画ですべて除去。冷却プールからの排水も順調に進んでいる。英国では原子力緊急事態に対する防災計画の立案と事故への対応は、オンサイトについては事業者、オフサイトについては地元当局が中心的役割を担っており、2001年に制定された「放射線緊急事態に対する準備および情報公開法(REPPIR)」に基づき、原子力施設を擁する地元当局はオフサイト緊急時計画の策定が義務付けられている。このような詳細な緊急時計画が必要とされる区域(DEPZ)は施設毎に異なっており、HPAのようなマグノックス炉の場合は半径3.5kmのエリアが対象となっていた。一方、原子力デコミッショニング機構(NDA)に代わって国内の閉鎖済み原子力施設を管理しているマグノックス社は、HPAで起こり得る災害すべてを評価し、結果をONRに提出。ONRはそれに基づいて、オフサイト緊急時計画策定の必要性や、どの程度の計画が適切であるかを判断していた。
今回ONRは、マグノックス社がHPAの災害評価報告書に記した「5mSV以上の住民被ばくにつながるような放射性物質の放出リスクはなくなった」との結論に同意した。ただし、隣接するB発電所ではEDFエナジー社所有の改良型ガス冷却炉(AGR、65万kW)が2基、稼働中であるため、B発電所の半径3.5km圏内で緊急時計画が必要であることは変わらない。同社はまた、両発電所の隣接区域でC発電所の建設を計画中であり、順調に進めば出力165万kWの仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)が2基、2023年以降順次、運開していく見通しである。