ロシア:サウジと原子力平和利用分野の2国間協力協定に仮調印
ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は6月18日、ロシアとサウジアラビア両国の政府が原子力平和利用分野における2国間協力協定に仮調印したと発表した。サウジが今後20年間に計画している16基、約1,800万kWという原子力発電設備の導入に積極的に参加していくことが目的。他の原子力導入国に対する協力と同様、原子炉の設計・建設のみならず、専門の人材育成を含めたトータルな協力枠組を構築する方針だ。調印はロスアトム社のS.キリエンコ総裁とサウジの原子力発電導入担当機関「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」のH.ヤマニ総裁が行った(=写真)。両国の原子力協力の法的基盤となることから、ロシアからの支援項目は多岐にわたる。すなわち、海水脱塩炉と粒子加速器を含めた発電炉と研究炉の設計・建設・運転・廃止措置に加えて、核燃料サイクル・サービス、使用済み燃料と放射性廃棄物の管理、放射性同位元素の生産およびその工業・医療・農業利用、原子力分野の専門家の教育訓練など。協力を具体的に進めるため、調整委員会を設置して原子力平和利用に関する詳細なコンサルティングを行うほか、個々のプロジェクトや研究、専門家と科学技術情報の交換、セミナーやワークショップの開催、科学技術関係の人材育成支援のための共同ワーキング・グループも設置するとしている。
サウジの原子力導入計画に対しては、原子力先進各国が受注獲得のためにしのぎを削り始めており、韓国は今年3月、サウジで2基以上のモジュール式中小型炉の建設を目指した了解覚書に調印。海水脱塩と電熱併給が可能なモジュラーPWRとして韓国原子力研究所(KAERI)が中東諸国向けに設計した「SMART」炉の建設可能性を審査する。また、アルゼンチンは国営のINVAP社とサウジ国営の技術開発投資企業を合弁させた「INVANIA社」を3月に創設。加圧重水炉3基の運転でアルゼンチンが培ってきた経験と能力をサウジの計画に役立てたいとしている。