WH社:ブラジルの新設計画念頭にNUCLEP社と覚書
東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社は6月18日、ブラジルで将来的にAP1000用機器設備の製造を行うための準備として、同国の国営重電機器メーカーであるNUCLEP社とリオデジャネイロで協力覚書を締結したと発表した(=写真)。同国政府が2030年までに北東部と南東部で100万kW級原子炉4~8基の建設を計画していることから、WH社はこれらのプロジェクトにAP1000を輸出する機会を探り、NUCLEP社と協働で機器製造することになる。
原子炉輸出における現地生産方針の一環として、WH社は主にブラジルのエネルギー部門における技術能力開発とインフラ強化に力を入れる。同覚書は世界の原子力市場でWH社が役割を拡大するために重要であるだけでなく、ブラジルにおいてもAP1000の建設で数千もの高報酬雇用を創出。産業能力が増強され、安全でクリーンかつ経済的な原子力の開発を担う次世代の専門家育成が促進されるとしている。
WH社の同国に対するエネルギー・インフラ支援の歴史は古く、1985年に同国で運転開始したアングラ1号機は同社が供給した60万kW級PWR。今日でも、同社は国営エレトロニュークリア社の原子力発電設備に技術支援を行っているほか、同国の商業的原子燃料サイクル事業実施会社であるブラジル原子力産業会社(INB)とは燃料・機器製造技術の分野で強力に連携している。また、今後はAP1000の建設を通じて、同国のエネルギー需要に対する支援機会も追求していく考えだ。
ブラジルの原子力設備拡大計画については、三菱重工と仏アレバ社の合弁事業体であるATMEA社やロシアの原子力総合企業ロスアトム社が受注を狙って、それぞれの推奨設計の販売促進会を開催。中国も、第3世代技術の習得・国産化専門機関である中国国家核電技術公司(SNPTC)がリオデジャネイロに駐在事務所を設置済みとなっている。