英規制当局:UK-ABWRの設計審査で規制上の重要課題を提起
英国の原子炉新設計画で採用が予定されているUK-ABWRの包括的設計審査(GDA)の中で、原子力規制局(ONR)が規制上の解決が必要な重要課題(RI)を提起していたことが6月18日に明らかになった。通常運転時における核分裂生成物の挙動および放出量と種類(ソースターム)に関するもので、日立GEニュークリア・エナジー社は2016年3月末までに同RIを全面的に解決するためのプランを提示し、同設計が安全性と環境保全に関する英国の基準に準拠していることを実証できるとの見通しを示している。UK-ABWRのGDA審査は昨年夏から総合的な評価作業である第3ステップに進展したが、第4ステップまで続くGDAで最終的な設計容認確認書(DAC)を2012年に取得したアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)でも、第3ステップでは2件のRIを提起されていた。
ONRの説明によると、ソースタームは当該原子力施設で起こり得る放射線被ばく災害を把握・制御する基盤となるもので、これらのデータの特定により、同設計の安全性と環境影響を実証するベースとして使用することができる。ONRと環境庁(EA)は2014年4月、RIの前段階の問題提起である「追加作業を要求する規制上の課題(RO)」を日立GE社に提起し、UK-ABWRのソースタームを特定・正当化するよう要請。日立GE社はこれに対して、計算に基づくアプローチを採用した回答を今年1月に提出したが、これは規制当局の期待を満たした手法ではなかった。このためONRは「いくつかの点が未だに不明確だ」と評価し、この件を「解決されない限り認可できない重要課題」であるRIに格上げしたもの。
日立GE社はソースタームの特定・正当化において、求められたものと異なる解釈を行ったかもしれないという点に同意。取るべきアプローチを徹底的に見直した上で、必要文書を段階的に提出するプランのほか、規制当局が作業状況を検査し、結果のフィードバックが可能となるような会合の開催を提案した。同社はまた、UK-ABWRの参照設計である日本のABWRが安全性と環境影響ともに最も厳しい基準に従って設計・建設・運転されており、従業員被ばくや環境への放射線放出量は世界で運転中の原子炉のなかでも最低レベルであると強調。50年もの間続いてきたBWR設計の進化の頂点に位置しており、その初号機が1996年に運転開始して以来、安全性と環境影響ともに優秀な実績を残していると指摘している。