スウェーデン:オスカーシャム発電所の大株主E.ON社が1、2号機の早期閉鎖勧告
スウェーデンのオスカーシャム運転会社(OKG)の大株主であるドイツのE.ON社は6月23日、オスカーシャム原子力発電所で最も古い1号機(O1)のみならず、2号機(O2)についてもOKG社が早期閉鎖に向けた準備を始めるべきだとする戦略的提案を発表した。経済性の低下したO1(40万kW級BWR)についてはOKG社が同月18日、2017年以降に永久閉鎖するための準備として許可申請書を国土環境裁判所に提出したが、O2(60万kW級BWR)は2013年6月に始まった大規模な安全性改良工事が年内の再稼働に向けて終盤に入っていたところ。O2を早期閉鎖するかの正式な判断はOKG社の取締役会で決定するが、労組との交渉の絡みもあり夏以降に持ち越される見通し。また、同社の少数株主であるフィンランドのフォータム社は同日、両炉の運転継続が好ましいとの声明文を発表している。
E.ONスウェーデン支社の発表によると、O2を2020年以降も継続運転するための投資にはビジネス・チャンスが欠落しているという。1974年に運転開始した同炉の運転期間延長には機器の取り替えや改修が必要で、2020年以降に国内原子炉に義務付けられる独立の炉心冷却機能の導入要求を満たすには巨額の投資が必要になると言明。近年の電力市場は大きく変化しつつあり、電力の恒常的な低価格や原子力発電設備に対する課税、安全要求項目の追加などからも、O2のような小出力プラントで広範な投資を行うことは収益上の課題を生むとした。また、近年の経済や政治状況を鑑みると、少数でも出力の大きな原子炉の運転を考えるべきだと指摘。O1とO2両方合わせたよりも発電量が大きい3号機(120万kW級BWR)は、長期的な電力の安定供給戦略上、重要であるとの見方を示した。
一方フォータム社は、両炉の運転継続はすべての関係者に恩恵をもたらすと主張。O1は永久閉鎖日が決まるまでの数年間、現在の出力レベルで運転し続けることができるとした。O2の近年の改良工事についても、炉寿命が満了するまで出力増強して運転し続けることを目的に投資が行われた点を指摘。このような投資や、同社らが原子力発電事業者として盤石な知見を有していることを考えると、炉寿命の尽きるまでO2が安全かつ信頼性のある発電を続けられるよう対策を打てるはずだと訴えた。また、同発電所の3基がスウェーデンにおける発電量の約10%を賄っていることから、1、2号機の継続運転によって低炭素電源による国内産業と社会へのエネルギー供給を保証し、さらにその期間の長期化が可能と強調。OKG社の取締役会が両炉の早期閉鎖を最終決定した場合は、その影響評価を行うとの考えを示している。