フィンランド:フェンノボイマ社がハンヒキビ1の建設許可申請

2015年7月1日

ハンヒキビ1号機の完成予想図©フェンノボイマ社

ハンヒキビ1号機の完成予想図©フェンノボイマ社

 フィンランドのピュハヨキでハンヒキビ原子力発電所1号機(120万kW、ロシア型PWR)の建設を計画しているフェンノボイマ社は6月30日、建設許可申請書を雇用経済省(TEM)に提出した。現在、建設サイトでは着工準備のための作業が進展中で、中心的な作業を請け負ったロシアのTITAN2(T2)社は7月から公共インフラなどの準備作業を開始する。フェンノボイマ社は2017年末までにこれらの作業を終え、建設許可が下り次第2018年にも建設工事を始めたい考えで、同炉が発電を始めるのは2024年になるとしている。

 13の付属文書を含めて約250ページに及んだ同申請書には、原子力法に準じて建設サイトや炉型、主要安全システムの特徴、廃棄物管理、資金調達、およびフェンノボイマ社の企業構造などの詳細情報を明記。同社は約60社の電力多消費企業で構成されるボイマ・オサケイティエ・グループの出資企業だが、フィンランド政府は2014年9月に同プロジェクトの「原則決定(DIP)」の補足部分を承認した際、建設許可申請時の条件としてプロジェクトの少なくとも60%はフィンランド企業の保有でなくてはならないとしていた。このため同グループは、内外からプロジェクトへの出資企業を募集。現段階ではクロアチアの発電・送配電企業「Migrit社」が同グループを通じてフェンノボイマ社株の約9%を保有したことから、プロジェクトの60%が欧州連合(EU)と欧州自由貿易連合(EFTA)所属国の保有になったと主張している。

 ただしTEM側では、クロアチア企業の参加が政府の条件を満たしたことになるかについて、時間をかけて審査すると明言。満たさないと判断した場合は、建設許可申請の拒否提案を政府に提出する考えだ。

 建設許可申請に加えて、フェンノボイマ社は2017年夏までにフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に安全評価関係の広範な文書を段階的に提出する必要があり、今回は予備的安全分析報告書(PSAR)の一部分を公表した。原子炉の設計手続はSTUKからのフィードバックに基づいて進められる予定で、建設許可の取得にはSTUKから肯定的な安全評価結果を得ることが不可欠となっている。

 なお、フェンノボイマ社は同プロジェクトで新たに選定したサプライヤー名を公表。タービン機器はアルストム社のアラベル技術を採用するほか、安全関連の計測機器は英国のロールス・ロイス社かフランスのシュナイダー・エレクトリック社から調達する計画である。