IAEA:イランの核開発疑惑を年内に解明する工程表で同国と合意

2015年7月16日

©D.Calma, IAEA

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 国連安保理5か国とドイツが7月14日にイランの核開発疑惑を解決する包括的共同行動計画(JCPOA)で同国と最終合意したのにともない、国際原子力機関(IAEA)は同日、「 イランの原子力プログラムにおける過去から現在までの未解決問題解明に向けたロードマップ」で同国と合意した。IAEAの天野之弥事務局長とイランのA.サレヒ副大統領兼イラン原子力庁(AEOI)長官がウィーンで同ロードマップに調印(=写真)。これに明記されたプロセスやスケジュールに沿って、天野事務局長はイランの原子力プログラムに軍事的側面が存在した可能性について、年末までに評価することになる。

 天野事務局長は声明の中で、同ロードマップのプロセスや一連の活動は2013年11月に両者が合意した協力枠組に基づいて設定されたと指摘。活動内容として、未解決問題に関するイラン側からの説明や専門家による技術会合、技術的措置、協議が行われるほか、核兵器関連の重要活動が広範囲に行われた疑いのあるパルチン・サイト関連の問題については別途調整することが含まれると説明した。ロードマップに明記された主な合意事項は以下の通り。

・2011年のIAEA事務局長報告・付属文書に基づいて未解決問題に取り組むとし、これまでにイランとIAEAが行った関連活動と結果がプロセスに反映される。
・イランは未解決問題に関する説明文書と関連文書を8月15日までにIAEAに提出する。
・IAEAはイラン文書から得た情報を9月15日までに審査し、不明な点があればイランに質問状を提示する。
・IAEAが質問状を提示した場合、不明部分を取り除くための技術専門家会合、技術的措置、および協議をテヘランで実施する。
・パルチン・サイト関連の問題については別途調整する。
・上記の活動はすべて10月15日までに完了する。
・IAEA事務局長は同ロードマップの実施状況を理事会に定期的に報告する。
・IAEA事務局長は12月15日までに最終評価を理事会に提示し、事務局長報告を発行する前に技術確認最終会合をイランとIAEAの間で開催する。