米エネ省・情報局:年末までに中国の原子力設備容量がロシア、韓国を上回ると予測
米エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)は7月20日、原子力発電設備容量で世界の上位6か国のうち、中国が今年の末までにロシア、韓国を抜く見通しであるほか、2020年には日本も追い越して、米国とフランスに次ぐ世界第3位の原子力大国に躍り出るとの予測(=グラフ)を明らかにした。EIAによると、現時点で中国の総発電電力量に占める原子力の発電シェアは2%を少し上回る程度だが、中国政府は2020年までにエネルギー消費全体の少なくとも15%を原子力や水力、その他の再生可能エネルギーといった非化石燃料発電で賄うとの目標を設定。これを達成するため、2020年までの原子力設備は5,800万kWに増強するほか、3,000万kWをその時点で建設中とする計画である。実際、同国の原子力設備容量は急速に拡大しており、今後数年間の原子力発電量を押し上げる見通し。2013年初頭以降に完成した10基、約1,000万kWにより、ネット容量は2,300万kWに到達した。さらに2,300万kWが建設中であることから、2020年までにこれらが運転を開始すれば、中国はアジアで第1位の原子力発電国となるとした。
EIAはまた、中国の原子力発電所は現在すべて東海岸沿いか南部に立地しており、国内の主な電力多消費地域に近い位置にあるが、2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて、徐々に内陸部での建設を検討していると指摘した。中国はウラン採掘から再処理に至るまで、原子力供給チェーン全般において所有者的役割を担うことを目論んでおり、ウランについては内モンゴル自治区と新疆(しんきょう)ウイグル自治区での国内生産を継続するとともに海外からの購入を通じて、戦略的商業用ウラン在庫量の拡大を計画。世界原子力協会(WNA)のデータによれば、核燃料再処理施設も2017年の完成を目指して開発中で、原子炉建設についても現在は輸入技術をベースとしているが、ウェスチングハウス(WH)社製・AP1000技術の移転を受けて自主設計したCAP1400の開発を進めている。このほか、原子力拡大プログラムの一環として中国は2014年にルーマニア、アルゼンチン、トルコ、南アなどの国と協力協定を締結。これらの国における原子炉建設計画に対する融資や、自主設計した原子炉の輸出を目指している点に言及した。