ロシア:ベトナム初の原子力発電所建設計画で第1段階を実行する枠組協定締結

2015年8月4日

©ロスアトム社

         ©ロスアトム社

 ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は8月3日、ベトナム初の原子力発電所となるニン・トゥアン省フォック・ディン村の第1発電所計画で建設工事の第1段階を実行に移すため、同社のエンジニアリング子会社であるASE-NIAEP社がベトナム電力公社(EVN)と一般枠組協定(GFA)を締結したと発表した(=写真)。同プロジェクトに関する両国共同作業グループの第1回会合が7月30日にハノイで開催されたのに合わせ、ロスアトム社とベトナム商工省代表の立ち合いの下でNIAEP社の上級副総裁とEVNの副総裁が調印したもの。今後の進め方に関する詳細は明らかにしていないが、ASE-NIAEP社は第1発電所の建設に向けた最も重要なステップの1つと明言した。また、ロシアとベトナムの関係者はともに、国際的な安全要件や品質要件すべてを満たした第1発電所は、ベトナムにおいて最も効率的な発電施設になると確信していると強調。出力120万kWのロシア型PWR(VVER)シリーズ「AES-2006」を2基建設するという同プロジェクトが具体的に動き出すことを示唆している。

 ベトナムでは石炭、天然ガス、石油といった化石燃料資源に恵まれているものの、2020年以降はエネルギー輸入国に転じるとの需給見通しがあり、同国の首相は2006年に、200万kW以上の原子力発電設備を2020年までに導入し、国内資源と組み合わせて利用する必要があるとの基本方針を承認した。2008年には、南部ニン・トゥアン省のフォック・ディンを第1サイト、ビン・ハイを第2サイトとしてそれぞれ原子炉を2基ずつ、2020年以降の運転開始を目指す計画を政府が決定。ベトナムは2010年に第1サイトの建設パートナーをロシア、第2サイトは日本を選定した。ロシア政府は第1発電所をターンキー契約で建設するにあたり、国家融資の提供を約束しており、2011年に両国は融資契約に調印していた。

 しかし、耐震性など安全性への懸念や関連法整備と人材育成の遅れなどにより、2014年に着工して2020年に1号機、2021年に2号機を稼働させるという第1発電所計画は大きく遅延。グエン・タン・ズン首相は2014年1月、第1発電所の着工を2020年頃に延期する可能性に言及しており、日本が担当する第2発電所のスケジュールにも影響が出ると見られている。