オルキルオト3号機建設計画の遅延による賠償調停で、事業者とサプライヤーが請求額を改定

2015年8月5日

 フィンランドのオルキルオト原子力発電所で3号機(OL3)を増設中のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は8月3日、同計画の遅延により被った追加費用を巡り国際商工会議所(ICC)の仲裁裁判所に申し立てていたサプライヤーへの賠償請求額を7月末付けで26億ユーロ(約3,500億円)に改定したと発表した。OL3で通常運転の開始が可能になる最新日程である2018年12月までに被るコストと損失を計算したもので、昨年10月の請求額から3億ユーロの増額になったと説明している。

 一方、TVOによると、同建設工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合がTVOに対して請求している額は、34億ユーロ(約4,600億円)と昨年11月時から変わっていない。ただし34億ユーロのうち、TVOがアレバ社らとの契約に基づいて支払うべき未払い金と7月末までの支払遅延利息は14億ユーロで2億ユーロ増えたのに対し、同企業連合が被ったとする損益は1,000万ユーロ減の1億4,000万ユーロに留まった。こうした状況からTVOは、この調停手続はさらに数年を要するとともに、請求額も再び改定される可能性があると指摘している。

 世界で初めてアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を採用したOL3の建設工事は2005年に開始され、当初の完成予定年は2009年だった。しかし、フィンランドとフランスの許認可方式の違いによりコンクリート打設や機器の製造に遅れが生じ、特にフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)による計測制御(I&C)系の検証作業は長期化した。これに伴い、約30億ユーロという固定価格のターンキー契約だった総工費は倍以上に膨らんだと言われており、TVOは追加経費の支払いを拒否。このため企業連合側が2008年に仲裁要請をICCに行っていた。