米ホルテック社:SMRの計測制御系開発で三菱電機と提携
米国で独自の小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」の開発を進めているホルテック・インターナショナル社は8月5日、専用計測制御(I&C)系の開発で三菱電機の米国子会社(MEPPI)と提携することになったと発表した。米国では巨額の初期投資を必要とする大型発電炉に代わって、製造に要するコストと期間の大幅な縮減が可能で、コンパクトなSMRの開発をウェスチングハウス社やバブコック&ウィルコックス(B&W)社などが独自に実施。ホルテック社も、安価な化石燃料による発電が進展しつつある時代にSMR-160を6億5,000万ドルのターンキー契約で設置できると試算した。経済性や安全性で十分な競争ポテンシャルを有する設計になると確信しており、将来的な世界の原子力市場を念頭に2016年第4四半期にも米原子力規制委員会(NRC)に設計認証(DC)を申請予定。現在、NRCと申請の前段階活動を行っている。ホルテック社によると、SMR-160は燃料に低濃縮ウランを使用する電気出力16万kWのPWRで、長い高圧送電線を必要としない。ポンプやモーターといった動的機器の代わりに重力を利用した受動的安全系を装備するため、福島第一発電所事故のような自然災害に見舞われても人的介入や電力無しで原子炉を停止状態にし、無期限に冷却することが可能。これまでに、原子力発電事業者のPSEGパワー社やアーキテクト・エンジニアリング大手のURSニュークリア社とSMR-160のエンジニアリング・建設で協力体制を構築している。
MEPPIがSMR-160で担当するのは主に、デジタル式計測制御系(DCS)の設計エンジニアリング作業とヒューマン・システム・インターフェース(HSI)機器の開発。このほか、建設国における建設・認証を可能にするための許認可関連文書の作成があるが、ここでは設計認証や安全解析書(SAR)など、必要に応じた申請文書の作成が含まれる。例えば、米国の顧客に対しては、建設許可と運転許可の2段階認可承認プロセスである古い連邦規則「10CFR50」をまず想定する一方、建設・運転一括認可(COL)など簡素化された新しいプロセスである「10CFR52」を想定した作業努力の継続も検討。米国の電気事業者の中には、むしろ先進的な設計の許認可には古いプロセスが適しているとの見方がある。今回の提携により、MEPPIは最終的にSMR-160用電気機器やソフトウェアおよびハードウェアの供給で世界でも選り抜きのメーカーになる見通しだとしている。