パキスタン:カラチ原子力発電所2号機建設でコンクリート打設実施、中国の「華龍一号」設計採用

2015年8月25日

最前列左端(=青い上着)がシャリーフ首相©パキスタン首相府

最前列左端(=青い上着)がシャリーフ首相
©パキスタン首相府

 パキスタン首相府は8月20日、カラチ原子力発電所の2号機(K2)(PWR、110万kW)建設プロジェクトで最初のコンクリート打設を実施したと発表した。設計は、中国核工業集団公司(CNNC)と中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代設計を融合させた「華龍一号」を採用。同設計は5月に中国福建省の福清原子力発電所で5号機として初めて着工されており、K2は中国以外で建設される最初の「華龍一号」になる。現地での記念式典に出席したN.シャリーフ首相は、CNNCの協力によりK2が正式着工したことを明記する記念プレートを設置(=写真)。これにより、2013年11月に起工式を行ったⅡ期工事(2、3号機)の建設計画が具体的に動き出したことになる。

 パキスタンでは、カナダから導入したカラチ1号機(加圧重水炉、13.7万kW)に加えて、CNNCからの資金・技術支援で建設したチャシュマ原子力発電所1、2号機(各30万kW級PWR)が稼働中。同3、4号機(各30万kW級PWR)も2011年から建設中となっている。カラチⅡ期工事の実施は政府の「原子力ビジョン2050」に基づくもので、夏季の気温が50度Cに達するという同国で、慢性的な電力不足を解消するための最優先事業という位置付けだ。

 首相府の発表文にⅡ期工事の詳細は示されていないが、建設費は2基合計で100億ドル程度になる模様。これには中国の輸出入銀行が財政支援を行うとみられている。なお、同発電所はサイトが同国最大の商業都市カラチから32kmしか離れていないことから、一部の科学者や住民は懸念を表明。天津で大爆発事故があった一週間後の着工ということで、中国の環境・産業・安全基準の緩さを指摘する原子力物理学者もいると伝えられている。