イタリアのENEL社:保有するスロバキア電力株の売却でチェコのEPH社と独占交渉
イタリアの電力会社であるENEL社は8月24日、同社の子会社が保有するスロバキア電力の株式66%を売却するため、チェコに本拠地を置くエネルギー企業のEPH社と独占交渉を開始したと発表した。協議の結果によっては、両社は今後数週間以内に拘束力のある株式売買契約に調印する可能性がある。
スロバキア電力は同国最大の電力会社で、34%は政府が保有。ENEL社はイタリア政府が原子力事業の復活を検討していた2005年、原子力事業の自社ノウハウ強化を目的にスロバキア電力株を購入した。しかしその後、グループ内の債務を削減する必要が生じ、60億ユーロ相当の資産売却計画を2013年から開始。スロバキア電力が進めているモホフチェ原子力発電所3、4号機(各40万kW級ロシア型PWR)増設計画の遅れが、同社株売却における最大のネックとなっており、完成日程は当初予定から5年遅れの、2017年と2018年になると見られている。
昨年11月の段階では、チェコの国営電力会社(CEZ)が購入の意思を正式表明。その直後に、ハンガリーの石油企業Mol社がスロバキアで所有する石油精製大手のスロブナフト社と電気事業会社のMVMグループによる合弁事業体が、応札する方針を明らかにした。また、一部にはフィンランドの原子力事業者であるフォータム社、中国核工業集団公司(CNNC)も手を上げていたとの報道があった。