イラン原子力庁長官が原子力発電開発拡大で中国との協力覚書に調印
イラン国営通信(IRNA)によると、イラン原子力庁(AEOI)のA.サレヒ長官が8月26日から3日間、中国を公式訪問し、イラン国内における民生用原子力発電規模の拡大で中国と協力するための覚書に調印した。イランの核開発疑惑問題解決のため、7月に同国が国連安保理5か国およびドイツと合意した「包括的共同行動計画(JCPOA)」についても、両国は協力して実行していくとしている。
サレヒ長官はまず、中国国家原子能機構(CAEA)の許達哲・事務局長を含む中国側当局と会談し、原子力の平和利用分野で両国が協力を深めていくことを確認した。AEOIはCAEAとの協力により、狭い地域に低コストの小型炉(出力10万kW)を海水脱塩と熱電併給用に建設する用意があり、これらを複数設置することで総計100万kW程度の発電容量を得たい考え。このため両国の当局者は、開発協力基盤の検討で双方の専門家を任命したという。
一方、JCPOAの実施協力については、アラク重水炉で兵器級プルトニウムの生産が不能になるよう設計変更する際、中国が建設的な役割を担うなど、両国が緊密に協働していくことになったと中国の国営新華社が伝えている。
同長官は翌27日には、中国の王毅外務大臣と会談。その後、中国核工業集団公司(CNNC)などの原子力平和利用関係機関を訪問予定であることを明らかにした。
イランでは現在、ロシアとの協力で建設したブシェール原子力発電所1号機(100万kW級PWR)が2013年から稼働中のほか、昨年11月に同発電所Ⅱ期工事として2基(各100万kW級PWR)増設する契約をロシアと締結。これに加えて同サイトでさらに2基、およびその他のサイトで4基をターンキー契約で建設していく方針である。また、中国との協力で建設する小型炉2基の建設サイトについては、イラン南部・ペルシャ湾の外側に位置するマクラン海岸になるとの見通しをAEOIが7月に公表していた。