IAEAとカザフが低濃縮ウラン備蓄バンクの設立協定締結
国際原子力機関(IAEA)は8月27日にカザフスタンの首都アスタナで、IAEAの低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンクを同国北東部オスケメン市に設立するための協定を同国と締結した(=写真)。加盟国に対し原子力発電所用LEUの供給を保証するIAEAのメカニズムで、運営はカザフが担当。これらの協定締結は6月にIAEA理事会が承認していたもので、IAEAの天野之弥事務局長はカザフとのホスト国協定に同国のE.イドリソフ外相と調印したほか、関連する技術協定にエネルギー省のV.シュコルニク大臣と調印した。LEUバンクが実質的に置かれるウルバ冶金工場とIAEAの契約も締結済みであり、同計画の本格的な実行に向けた法的枠組が全面的に整ったことになる。IAEAのLEUバンクは、市場その他の既存ルートによるLEU供給が途絶した場合の最後の手段として有資格の加盟国が利用可能で、LEUの商業市場を歪めないことが基本原則。確実かつ予測可能な方法で核燃料の入手が保証される一方、IAEAの包括的保障措置協定の締結とその遵守が義務付けられており、核不拡散にも一定の効果があると見込まれている。カザフの法制・規制上の要件に準じて運営されるとともに、IAEAの安全基準とセキュリティ・ガイダンスの関連条項を遵守する方針で、備蓄量は100万kW級軽水炉が3年間運転するのに十分な量といわれる最大90トンを予定。経費は任意の拠出金で賄われる計画で、現在、米国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、欧州連合、米国、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、およびカザフスタンからの1億5,000万ドルが、バンクの設立と今後10年間の運営費として確保済みである。