フランス電力:フラマンビル3号機の起動を2018年に1年繰り延べ
フランス北西部のフラマンビル原子力発電所で3号機(FL3)(PWR、165万kW)を建設中のフランス電力(EDF)は9月3日、起動予定日を最新のスケジュールから1年繰り延べ、2018年第4四半期になるとの見通しを発表した。同時に、建設サイトにおける管理体制を合理化するため、組織構造を大幅に改革。すべての産業・財務パラメーターを見直した結果として、総工費も着工当初の33億ユーロから105億ユーロ(約1兆4,000億円)に改定したことを明らかにした。同炉は「第3世代+」の最新設計であるアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を採用しており、フランス国内では初めての例。同じ設計でFL3より先に着工したフィンランドのオルキルオト3号機(OL3)の工事も遅れており、完成は2018年末にずれ込んでいる。一方、中国の台山1、2号機はそれぞれ2009年と2010年の着工だったにも拘わらず、欧州の2基を追い越して2016年と2017年の完成が見込まれている。
FL3で原子炉建屋部分のコンクリート打設を実施したのは2007年12月のこと。現在フランスで唯一建設中のプロジェクトで、2002年4月にシボー2号機が運転開始して以来の新設炉になる。着工時の完成予定年は2012年だったが、土木エンジニアリング作業の見直しや建設現場での死亡事故、福島第一事故にともなう包括的安全評価審査などにより、完成スケジュールは再三、繰り延べられてきた。こうした背景から、EDFでは過去数か月間、パートナー企業を交えて同プロジェクトとその組織体制を包括的に審査した結果、試運転完了までの建設サイトにおける管理体制について、次のような組織構造改革を行ったという。すなわち、
・プロジェクト管理をJ.-B.レビィ会長兼CEO、および新規原子炉プロジェクト・エンジニアリング担当のX.ウルサ上級副社長の直属に置く、
・EDFとパートナー企業間の連携方法を変え、プロジェクトを綿密に調整・監督する、
・建設段階が終盤に近づき、テストの準備が始まることから、サイトでの報告義務と管理者の立ち合いを強化する、
・主要サプライヤーとの契約枠組を改める、
・仏原子力安全規制当局(ASN)との対話、特に原子力耐圧機器の規制に関するものを促進する、--である。
現在のプロジェクトの進捗率は、土木建築関係で98%が完了し、電気機械関連の作業では60%。中央制御室も起動しており、EDFは今年の第1四半期に試運転申請書をASNに提出済みだ。プロジェクト管理の合理化を念頭に、EDFが今後の新たなロードマップとして、パートナー企業と合意した3つの主要な節目に関する日程は以下のとおり。
(1)一次系機器の設置を2016年第1四半期に完了する。
(2)すべての電気機器のセットアップ完了とシステムの性能試験開始は2017年第1四半期とする。
(3)燃料の初装荷および原子炉の起動は2018年第4四半期とする。