サウジアラビア:「SMART」炉の技術で韓国と協力契約締結

2015年9月7日

調印はサウジアラビアの首都リヤドで行われた©KACARE

調印はサウジアラビアの首都リヤドで行われた©KACARE

 サウジアラビアの原子力導入計画推進機関である「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」は9月3日、韓国原子力研究所(KAERI)が中東諸国向けに開発したモジュール式小型炉「SMART」技術に関するパートナーシップ構築で両者が協力契約を締結したと発表した(=写真)。サウジ国内で同炉の建設可能性を探るだけでなく、将来的に共同でSMART炉を世界市場に売り込むことを視野にいれた契約。サウジは韓国の協力を通じて、SMART炉の技術に関する知識インフラ、関連する人的資源も国内で整備していく考えだ。

 両国は2011年に結んだ原子力平和利用分野での2国間協力協定に基づき、今年3月にはKACAREがサウジ国内で2基以上の小型炉建設を念頭に、韓国の未来創造科学部と協力覚書を締結。今回の契約はこれらを進展させる内容で、具体的にはSMART炉の炉心設計、流体システム設計、機器設計、マンマシン・インターフェース設計、安全分析などについて協力と共同建設を推進するとしている。

 SMART炉は海水脱塩と熱電併給が可能なシステム一体型先進モジュラーPWRで、熱出力と電気出力はそれぞれ、33万kWと10万kW。韓国政府は2020年までに同炉を10基輸出する目標を公表しており、初輸出はサウジ向けとすることを狙っている。一方、サウジは2040年までに1,200万~1,800万kWの原子力発電設備導入を計画。技術移転により原子力技術の国産化と供給チェーンの国内構築も目指している。