米国:パイクトンでの遠心分離技術研究開発に対する政府補助金が6割カット
米国のセントラス・エナジー(旧USEC)社は9月11日、同社がオハイオ州パイクトンで実施している先進遠心分離技術の研究開発への政府補助金が60%削減されることになったと発表した。同社はオークリッジ国立研究所(ORNL)と結んだ契約の下で米国式遠心分離技術の研究開発を行っていたが、ORNLからこのほど補助金を年間3,500万ドル程度に削減した形で同契約を10月1日から来年9月30日まで更新する旨、連絡があったとしている。同契約は更新可能であるほか、開発活動もテネシー州オークリッジにおいて、試験設備の運転やエンジニアリングなど限られた範囲内で続けられるものの、パイクトンにある米国唯一の遠心分離機カスケードの継続運転は補助の対象外になるとして落胆を表明している。
ORNLは、国家的安全保障とエネルギー・セキュリティの観点から、経済的かつ信頼性のある米国起源の遠心分離技術開発を支援するよう米エネルギー省(DOE)から任命され、2014年5月に米国式遠心分離機の実証・運転契約(ACTDO)をセントラス社と締結。同社はパイクトンの「米国遠心分離濃縮プラント(ACP)」を使い、米国式遠心分離機カスケードの長期的な性能と信頼性を、実際の運転条件下で研究開発・実証する活動を展開していた。
セントラス社のS.ペンロッド副社長は、同技術がパイクトンでのひたむきな努力により有効に実証されたとするORNLの認識に対して謝意を表明。米国政府が同技術を国家的安全保障のために必要とした際に引き続き開発できるよう、ORNLや議会とともに同プログラムの主要機能をできる限り保全していきたいと述べた。同社のD.ポネマン社長兼CEOも、かけがえのない国家資産である同技術と同社の技術スタッフを守るためのオプションを今後数週間で探ると明言。補助金カットに伴う人員削減はその家族や地元コミュニティに苦境を強いるほか、今後のプログラムの進展を危うくするとの認識を明らかにした。同社はまた、人員削減やプログラムのさらなる減速にともなうコストを負担するとの見解を表明。パイクトン施設が万一、閉鎖となった場合や、施設をDOEに返還する際のコストも負担することになるとしている。