EDFエナジー社CEO:「近くヒンクリーポイントC建設計画で最終投資決定」と明言
英国サマセット州でヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC)建設計画を進めているEDFエナジー社は9月15日、同計画に対する最終投資決定を近々、下す段階に来ていると明言した。同社のV.デリバス最高経営責任者(CEO)がダンジネス原子力発電所・ビジターセンターを訪問した際の講演で明らかにしたもので、原子力発電の必要性から建設計画のスケジュールとコスト、採用技術、事業者であるEDFエナジー社の計画遂行能力まで、あらゆる側面から同計画の妥当性や重要性を訴えた。未確認の報道では、今月末か10月初頭にも最終判断が下されると見られている。
デリバスCEOはまず、原子力発電開発において欠かせない透明性について説明。英国の稼働中原子炉のほとんどを所有するEDFエナジー社はすべての事業で透明性を重視しているとし、大規模プロジェクトであるHPC計画についても正しく理解してもらうため、政府や議会、欧州委員会、規制当局、労働組合、同社の従業員、供給業者、顧客、事業パートナーなどによる厳しい精査を受けたという。こうしたプロセスは同計画に説明責任を有する人々によって進められ、彼らは同計画が英国の必要とする投資であるとともに、確実なプロジェクトであると結論づけている。また、このプロセスを通じて同建設計画が改善され、同社が最終投資決定の一歩手前に到達するに至ったと述べた。
原子力を新設する必要性については、地球温暖化に対処するため、政府がエネルギーを安定的かつ手頃な価格で供給できる低炭素エネルギー・システムの構築という目標を打ち出したこと、また、2010年以降に国内の発電設備の20%が閉鎖され、2030年までにさらに35%が閉鎖されるという切実な現状に言及。英国が温室効果ガスの排出抑制目標を達成するためには、新たな発電設備の大部分が低炭素でなければならないが、発電が間欠的な再生可能エネルギーやCO2を排出するガスでは難しい。昼夜を問わず、夏も冬もコンスタントに発電できる原子力のみが、そうしたシステムの基盤として必要なのだと主張した。
スケジュール通りにHPC計画を進めることができるのかという疑問に対しては、「早すぎず遅すぎず、丁度間に合うタイミング」で完成すると明言。コストに関しても、発電電力を固定の行使価格で差金決済するという両方向の取引により、市場卸売価格が行使価格を上回った場合はEDFエナジー社側が差額を支払うため、消費者が守られることになる。同社の見積もりでは、将来のエネルギー・ミックスに新設原子炉が加われば、その他の低炭素電源オプションと比べて電気代が10%抑えられるなど、HPC計画は安い買い物になるとした。
採用設計であるアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)についてはまず、確証済みの技術に基づいた最良かつ最も安全な設計であると強調。英国の規制当局が4年にわたって同設計を評価・承認しており、現時点で同審査をクリアした唯一の設計であるという事実に触れた。また、世界ではフランスのフラマンビルや中国の台山でもEPRを建設中であるため、HPCは5基目と6基目となる計算。これらから得られる経験はHPC計画にとって非常に有益であり、英国は建設を始める前に自らが建設するものについて自信を持つことができるとの認識を示した。
EDFエナジー社と中国パートナーが同計画を実行可能かという質問に対しても、デリバスCEOはキッパリと肯定。熟練した国際チームの参画と統制の取れたプロジェクト・アプローチ、明確な責任分担、コストと日程の現実的な見積もり--などが同計画を成功に導くと断言した。特にHPC計画については、地元コミュニティとの3年もの徹底協議の末に合意を獲得。計画審査庁が1年間、厳しく審査したほか、担当大臣が審査・承認するなど、十分な合意が得られていることが強みだと説明している。