ロシアとノルウェー:国境地域の環境保全で原子力事故早期通報協定の議定書に調印
ロシアの国家原子力総合企業ロスアトム社は9月15日、ロシアとノルウェー両国政府が結んだ「原子力事故の早期通報と原子力施設情報の交換に関する協定」に基づき、ノルウェー放射線防護局(NRPA)と具体的な対策に関する議定書に調印したと発表した。両国間の国境地域における環境防護を強化するとともに、関連分野での協力と善隣関係を促進するのが目的。署名は国際原子力機関(IAEA)の第59回年次総会に合わせ、ロスアトム社のS.キリエンコ総裁とNRPAのO.ハービツ事務局長がウィーンで行った(=写真)。両国は北極海側で一部国境を接しており、ロシアの欧州に最も近い地域にはコラ原子力発電所(40万kW級PWR4基)とレニングラード原子力発電所(100万kW級黒鉛チャンネル型炉4基)が立地。一方、1950年代から原子力の基礎研究を行っているノルウェーでは、ハルデン重水炉をはじめとする研究炉が複数存在する。今回の議定書は、早期通報協定の誓約事項を実行に移す一連の共同措置を盛り込んでおり、両国間で取られるプロセス全体が一層システマチックになるよう、原子力と放射線安全の様々な側面に関する情報交換で新たな手続を明記。カバーする原子力施設はコラとレニングラードを含めた原子力発電所のほか、ノルウェー領土内およびロシアの国境から300km以内の地域に存在する舶用炉、新燃料と使用済み燃料の貯蔵所、研究炉などだが、定期的な共同訓練や協議の実施も想定した。
ロスアトム社によると、同議定書は両国の国内法と国際的な誓約事項、およびIAEAの関連文書に全面的に準拠。ロシアとしては近い将来、国境を共有するとともに利害も共通するその他の国々とも、原子力安全と環境防護強化の観点から同様の文書を締結していきたいとしている。