IAEA天野事務局長:イランの核開発疑惑サイト「パルチン」を初めて視察
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は9月21日、イラン訪問後の記者会見で核開発疑惑のあるパルチン・サイトを同機関として初めて視察したことを明らかにし、同国の原子力施設の検証・監視枠組である「ロードマップ」の履行が大幅に進展したと発表した。同サイトでは天野事務局長らの視察に先立ち、イラン側が特定の箇所で環境サンプルなどを採取したが、天野事務局長はIAEA側がこの採取プロセスの健全性とサンプルの信頼性を確証することが出来ると強調している。イランの核開発疑惑を巡り、国連安保理5か国とドイツは今年7月に「包括的共同行動計画(JCPOA)」でイランと最終合意。これに基づいてIAEAがイラン側の誓約を検証・監視することになったが、核開発関連活動が広範囲に行われた疑いのあるパルチン・サイトについてIAEAは、イラン側と合意したロードマップとは別に調整するとしていた。
記者会見によると、天野事務局長は保障措置担当のT.バージョランタ事務次長とともに20日に同サイトを訪問。これまでIAEAは衛星画像のみで同サイトの監視を行ってきたが、今回は施設の建物内に入った上、最近行われた改築作業の痕跡や機器類がまったく置かれていないのを目にしたという。今後、IAEAの専門家がこのような情報を分析するほか、ロードマップに明記された協議も今後数週間をかけてイラン側と実施予定だとした。
サンプルの採取方法については、IAEAがこれまでの経験上、加盟国の代表者がIAEAによる確証作業を支援するために一定の条件下で保障措置活動を行うことを許可しており、それは確証作業の信頼性を確実に保証する方法で行われると説明。パルチンの場合も、イラン側が一部のサンプル採取において、器物の表面からサンプルを拭い取る手法で行ったことを認めた。しかし天野事務局長は、サンプル採取がパルチンのIAEAが指定した箇所で行われており、その確証作業はIAEAの責任と監視の下、確立済みの検証プロセスを使って実施すると強調。これらのサンプルがすでに分析のためにウィーンに運ばれたことを明らかにしている。