仏原子力安全当局:フラマンビル3号機・原子炉容器の追加試験について近く方針決定
フランス原子力安全規制局(ASN)は10月1日、フラマンビル原子力発電所で建設中の3号機(FL3)(PWR、165万kW)で判明した鋼製原子炉容器(RV)の異常に関して、アレバ社が提案した一連の追加試験に対するASNとしての決定方針を、近く公表予定であると発表した。ASNの諮問組織である「原子力耐圧機器常設専門家委員会(GP・ESPN)」は前日の9月30日に会合を開催しており、RVが十分な強度を有していると実証するためのアレバ社の試験方法は受け入れ可能などとする分析報告書をASNに提示。ASNはGP・ESPN勧告に基づいて同試験の実施方法等について判断を下すとしている。
GP・ESPN会合では、フランス国民が国内原子力発電所の安全性を監視するための組織である「原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)」や「地域情報委員会全国連合(ANCCLI)」の代表、および同炉の建設工事に関与している国外の原子力安全当局もオブザーバーとして参加。フランス初のアレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)となるFL3の営業運転開始時期は当初予定からすでに4年遅れているが、ASNは同炉建設工事で安全性の確保と国民への透明性に万全性を期す考えだ。
原子力耐圧機器(ESPN)の材料物質に関する2005年の新しい技術要件を遵守するため、アレバ社は昨年、FL3と同種の原子炉容器上蓋を使って成分分析と機械特性試験を行ったが、その結果、機械的強度を弱める可能性のある高炭素濃度箇所の存在が明らかになった。FL3の初期計測でも上蓋と下鏡両方で同じ異常が確認されたことから、アレバ社は今年4月、異常箇所の正確な位置特定と機械特性が適切であることを保証するための一連の追加試験プログラムをASNに提案した。これを検証したGP・ESPNは、専門家としての見解と勧告を報告書にまとめており、アレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社における原子炉容器製造プロセスが材料物質の不均質化した原因とみられること、フィンランドの同型設計であるオルキルオト3号機用に日本製鋼所が製造した原子炉容器など、その他の製造プロセスによるものでは不均質現象が見受けられないことなどを指摘。アレバ社に対しては、既存の原子炉容器との比較が可能な条件下での非破壊検査や公認研究所での化学分析の実施などを勧告している。