ベルギー規制当局:ドール1、2号機の運転期間10年延長に向けた行動計画を承認
ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は10月1日、ドール原子力発電所1、2号機(各46万kW、PWR)の運転期間10年延長に向け、事業者のエレクトラベル社が安全性に関する技術要件を満たしていくために作成した行動計画について、3点の条件を付加した上で承認した。同計画は両炉で今後10年間の安全運転を保証できるよう、経年化した設備の最新化と管理、様々なアクションの日程と優先項目などを盛り込んだ内容で、同社が4月にFANCに提出していた。エレクトラベル社はまた、新たな原子力税の導入など、運転期間の延長にともなう経済的な条件について7月末に政府と原則合意。同社は今後、この点について最終合意に達する必要があるとしたほか、議会もこれを盛り込んだ法案を審議することになるとしている。
ベルギーでは2003年の脱原子力法に基づき、原子炉の運転期間を40年に制限し、2025年までに段階的に脱原子力を達成することになっている。このためエレクトラベル社は今年の2月15日、運転開始後40年を迎えたドール1号機を送電網から解列。2号機も12月1日付けで停止することになっていた。しかし、昨年10月に発足した現政権は十分な発電設備の確保を優先するとし、これらの運転期間を延長する方針を表明。脱原子力法の一部修正法を今年6月に成立させている。これにより、原子炉容器での超音波検査といった行動計画における優先項目の完了を条件に、1号機は2025年2月まで、2号機は同年12月まで運転期間の延長が可能となった。また、延長にともなう経済条件として、エレクトラベル社は2016年から2025年までの年間均一料金2,000万ユーロ(約27億円)を毎年支払っていくことで政府と原則合意。脱原子力を達成する2025年以降を見据え、エネルギーの生産と貯蓄に関する研究開発やプロジェクトを促進する「エネルギー移行基金」に蓄えておくことになった。
エレクトラベル社の行動計画に関して、FANCは7月3日に「安全上、適切」との暫定的な評価結果を公表。その後、詳細分析を行った結果、「同行動計画により放射線の悪影響が環境に及ぶことはなく、同社はドール1、2号機を長期間、安全に運転し得る」と結論づけて、同行動計画を承認した。ただし両炉の運転認可には、行動計画関連で3つの条件を追加すると言明。それらは、(1)事業者は行動計画に記載した内容と日程どおりにこれを実行すべきであり、いかなる変更にもFANCの承認が必要、(2)行動計画における優先項目はすべて、両炉が長期運転を開始する前に完了しなければならない、(3)長期運転の開始前に、10年毎に行われる大規模安全審査の第4回目の概要報告書をFANCに提出しなければならない--などとなっている。