EC:放射性廃棄物を地層処分に移行する英国の価格設定方法を承認
欧州委員会(EC)は10月9日、英国政府と原子力発電事業者が使用済み燃料などの放射性廃棄物を地層処分に移行させる際に交わす契約のコスト価格設定方法を承認したと発表した。この措置は、英国で新たに建設される原子力発電所からの使用済み燃料処分経費は納税者が負担するのではなく、事業者が将来的な負担責任額をカバーするのに十分な資金を確保した上で負担する点を保証するためのもの。英国政府はこれらを埋設する地層処分場の操業を2040年頃から開始したい考えだが、今のところ建設サイトも決まっておらず、移行価格の最終的な確定が難しいことから、ECはその設定方法をEUの国家補助規則に照らし合わせて評価し、EU共同市場における競争原理を損なうものではないと結論付けた。これにより、EDFエナジー社がサマセット州で進めているヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画でも、最終的な廃止措置と廃棄物処分コストの事業者負担が明確になった。
ECの発表によると、英国政府は既存炉および今後新設される原子力発電所から出る使用済み燃料や中レベル放射性廃棄物を埋設するため、深地層処分場の建設を計画中。2040年頃から中レベル廃棄物の埋設を開始する一方、使用済み燃料については2075年頃から処分を開始し、2140年まで継続するとしている。このような処分への移行価格は実際の処分経費を反映するもので、原子炉が発電を開始した後、約30年経って処分施設の原価要素が明確になった時点でのみ決まるが、原価要素の多くは現時点では未確定。同価格は特に、設定後にコストが増加する可能性を反映した適切なリスク保険料率、予想される変動価格や固定価格のすべてをカバーすることが求められており、その設定にあたっては、EU規則の適用範囲内でいかなる国家補助も含まれないとしている。事業者も、最終価格が決まるまで定期的にコスト予測額を改定し、将来的に発生する負担も十分カバーできる資金の確保が義務付けられている。
英国はこの移行価格の設定方法について、現段階における不確定要素を考慮。将来的な負担責任に対して資金調達や投資家を確保するには、責任額の予測がある程度可能になるような上限を設ける必要があるとした。この上限は、非常に保守的な予想最大値に基づいて英国の当局が設定していることから、ECでは実際の処分経費が上限レベルを超えることはないと判断。どのような国家補助や上限価格による競争原理の歪みも、非常に小さいレベルに留まるとの見解を表明している。