サウジアラビア:ハンガリーと原子力平和利用協力協定を締結
サウジアラビアの原子力発電導入計画担当機関である「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」は10月19日、首都リヤドでハンガリーとの2国間原子力平和利用協力協定に調印したと発表した。今後20年間で1,200万~1,800万kWの原子力発電設備建設を目指す同国は、既にフランス、韓国、中国、アルゼンチン、ロシア、フィンランドと同様の協定を締結済み。原子力企業への投資や国際的な戦略パートナーシップの構築などで下準備を行い、門戸を広く開放するために、今後もその他の国々と原子力協定を締結していくとしている。ハンガリーとの協定では、両国が協力関係を結ぶ様々な分野を特定。具体的には、商業炉と研究炉の設計・建設・運転、原子力の安全・セキュリティ、緊急時の計画と対応、放射性廃棄物管理、医療・工業・農業分野への原子力技術の応用、人材育成--となっている。サウジではハンガリーを先進的な技術産業を備えた国の1つと評価。同国との協力は、再生可能エネルギーと原子力を含む多様で持続力のあるエネルギー・ミックスの実現に向けたサウジの努力を一層加速するほか、関連技術の移転や原子力発電所における良慣行の共有の促進でも大いに役立つとの認識を明らかにした。ハンガリーでは現在、唯一の原子力発電設備であるパクシュ発電所の4基(各50万kW、ロシア型PWR)が1980年代から稼働中。2014年以降、これらの運転期間を順次20年延長する手続を進める一方、ロシアの低金利融資により5、6号機(各出力120万kW、ロシア型PWR)を建設する計画も進めている。
KACAREのH.ヤマニ総裁によると、サウジでは国内のエネルギー需要が年率6~8%で増加しており、2040年までに発電容量を8,000万kW追加する必要がある。エネルギー需要が今後10年間で3倍に膨らむという見通しの下では、再生可能エネルギーと原子力の技術を安全かつ持続可能な方法で活用していくことは極めて重要。これらを自国の代替エネルギー源として開発することにより、枯渇しつつある石油資源を今後の世代まで温存していきたいとしている。