米国:ワッツバー2号機に運転許可、2016年初頭に運転開始へ

2015年10月26日

 米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は10月22日、米原子力規制委員会(NRC)からワッツバー原子力発電所2号機(PWR、120万kW)を40年間運転する許可を取得したと発表した。同炉は1996年に同1号機が営業運転を開始して以来、米国で20年ぶりの新設原子炉であるとともに、100基目の商業炉となる。1970年代に着工した同炉の建設工事は1985年に一旦停止。建設・運転一括認可(COL)を必要としない古い許認可システムに従って、2008年から完成工事が始まっていた。運転許可の取得により、ワッツバー・チームは最初の燃料を装荷する準備に入るが、これにはNRCの点検審査や主要機器とシステムすべての準備を含めて数週間を要するため、運転を開始するのは2016年初頭になるとの見通しを示している。

 NRCの発表によると、ワッツバー発電所は事故時の影響緩和策や使用済み燃料貯蔵プールの計装強化など、福島第一事故関連の指令に適合した最初のサイト。現在、NRCによる2名の駐在検査官が同サイトの活動を日常的に監督しているほか、追加の検査官が2号機の起動活動を監視中である。

 同社のB.ジョンソン社長兼CEOは、「単に建設段階を終えたというだけでなく、当社がテネシー峡谷の人々に低コスト・低炭素で最高品質の電力を安全にお届けするため、必要な措置をすべて取ったことを証明している」とコメント。同炉を完成させたことは、TVAに長期的な利益をもたらす健全な事業判断だったとし、900万人の顧客や地元のパートナー企業に手頃な価格の電力を環境に優しい形で供給するという同社の電源多様化政策にとって重要との認識を明らかにした。原子力部門のJ.グリムス主任も、ワッツバー2号機によって、原子力がTVAのみならず米国のエネルギー・ミックスの重要な存在との認識が一層深まり、TVAと米国の原子力産業界を勇気づけることになるとしている。