ロイド船級協会と中国:SMRを搭載した原子力船の開発で協力枠組協定締結
ロンドンを本拠地とするロイド船級協会のエネルギー部門は10月20日、中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核動力研究設計院(NPIC)と小型モジュール炉(SMR)を搭載した安全な海上浮揚式原子力発電所(原子力船)の設計・開発で協力するための枠組協定を締結したと発表した。ロイド船級協会はかつて商船の等級分けを専門としていたが、現在では様々な業務部門で危機管理審査を行う専門組織となっている。このため、海上・海事の安全規制と原子力関連の経験を併せ持った同協会の専門的知見を、最高レベルの性能と安全性を備えた設備の設計・建設・運転に活かし、NPICが海上原子力プログラムで取り組む技術課題に支援提供することになったもの。今回の枠組協定に基づく最初の契約としては、国際原子力機関(IAEA)の原子力安全基準や海上・国際海事規制に準拠した原子力船用に、新たな安全規制とガイドライン、原子力コード・基準を開発するとしている。
NPICは現在、原子力によって海上の石油採掘構造物にエネルギー補給するという構想を推進中。これは、原子力技術を活かして確実に電力を供給するため、革新的な最新方策を追求するというNPICの努力の一例だとした。同構想はまた、ロイド船級協会と共同で進める画期的な原子力プロジェクトであり、今回の協定締結によって同協会と将来的にも協力していく事業機会がさらに数多く創出されるとの認識を明らかにした。
ロイド船級協会も、中国との共同原子力プロジェクトはエネルギーと海事の両部門における持続可能な発電の推進で、原子力発電の活用がどのように可能か先導していくことになると評価。安全かつ長期的に利用できる電源として原子力の適用を目指す中国は、疑いもなく原子力ルネッサンスの最前線に位置する国の1つだと明言している。