米規制委:国内原子力発電所の地震リスク徹底分析評価の完了日程を前倒し

2015年10月30日

 米原子力規制委員会(NRC)は10月27日、全米の原子力発電所で実施している地震リスクの再評価日程を早め、予備選別審査で耐震確率論的リスク評価(SPRA)を行うべきと判定した33サイトのうち20サイトに対して、当初予定より1年前倒しの2019年12月末までに同評価を完了するよう指示する一方、13サイトに関してはSPRAを継続する必要はないと判断したことを明らかにした。追加的な審査が最も必要な発電所にNRCと原子力産業界双方の専門的知見を集中させるなど、資源を一層効果的に活用するのが狙いで、サイトによっては徹底評価を行う時間的余裕が生まれると説明。徹底分析が実際に必要な原子炉数は予想していたより少なかったとしており、全体的な経過についても「必要に応じてさらなる分析は実施するものの、米国の原子力発電所は運転継続するに足る安全性を備えている」と結論付けている。

 地震リスクの再評価は、福島第一原子力発電所事故の教訓を国内原子力発電所に反映させるため、NRC短期タスクフォースが提示した勧告に基づいて行われている。NRCは、各発電所事業者が2012年3月の要請に従って提出した最新の地震リスク再評価情報の予備選別審査を実施しており、中・東部のロッキー山脈以東に立地する59サイトと未完成の1サイトに対しては2014年5月、同山脈以西の3サイトについては今年5月に審査結果を通達。地震リスクが既存の設計基準を超えていると評価されたサイトは33にのぼっており、NRCスタッフは中・東部のサイトには2017年6月~2019年12月まで、ロッキー以西のサイトについては2020年12月までにSPRAの結果を提出するよう指示していた。

 しかし、その後さらなる評価作業を進め、初期に行ったSPRAも考慮した結果、NRCスタッフは設計基準を超過するリスクの度合いが低い13サイトではもはや、SPRAを実施する必要が無いと判断。残りの20サイトでは地震災害に対する発電所全体の対応を評価するために適切なSPRAを継続し、NRCが現在の耐震設計基準の適性について規制上の決定を下せるよう、報告しなければならないとした。これらのうち、結果報告書を最も早いタイミングで提出するサイトの期限を2017年3月とし、当初予定から3か月繰り上げたほか、すべてのサイトが提出を終える期限も1年前倒しの2019年12月末に改定している(=)。

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