AP1000用原子炉冷却材ポンプが性能検査をパス、中国・三門に向けて出荷へ

2015年11月2日

 東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社と米国のポンプ製造業者であるカーチス・ライト社、および中国国家核電技術公司(SNPTC)は10月28日、世界初のWH社製AP1000となる中国浙江省・三門原子力発電所1号機向けの原子炉冷却材ポンプ(RCP)が最終性能検査と検査後点検を成功裏に完了したと発表した。

 4台の同炉向けRCPは2012年に建設サイトに搬入された。しかし、同様にAP1000を採用した海陽原子力発電所向けのRCP最終検査で2013年1月に羽根車の脱落といった不具合が見つかったため、米国に返品された経緯がある。これらの羽根車はカーチス・ライト社の子会社が製造したものであったため、同社とWH社、SNPTCはその後、協力してRCPの設計を変更。この問題により同炉の完成は遅延を余儀なくされたが、3社は今年末までに最初の2台のRCPをサイトに搬入できるとの見通しを示した。また、同炉向けの残り2台、および三門2号機を含む中国で建設されているその他3基のAP1000、米国で建設中の4基についても、RCPを製造・出荷していくことになると明言した。

 今回の最終性能検査と検査後点検は、カーチス・ライト社が米ペンシルベニア州で所有する電気機械部門(EMD)設備を使用して行われた。60回以上もの起動停止サイクルを含め、AP1000の全面的な運転条件下で1,600時間以上にわたってRCPの性能を検証。中国側規制当局の広範な審査も詳細な検査後点検とともに実施したことにより、RCPが設計要件を満たしており、安全で信頼性のあるAP1000の運転が可能であると確認できたとしている。