カナダ:深地層処分場候補地の予備評価・第1段階が完了、9地点が第2段階へ

2015年11月5日

初期選定で良好と判定され、予備評価の第1段階が行われた21地点(赤字は第2段階に進む9地点)©NWMO

初期選定で良好と判定され、予備評価の第1段階が行われた21地点(赤字は第2段階に進む9地点)©NWMO

 カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は10月29日、使用済み燃料の深地層処分場建設計画におけるサイト選定プロセスで、オンタリオ州セントラルヒューロンで実施していた予備評価の第1段階を終えたと発表した。これにより、予備評価の実施を要請したオンタリオ州とサスカチュワン州の21地点すべてで予備評価の第1段階が完了し、9地点が地質学的調査や制限付き掘削調査などを含む第2段階に進むことになった(=)。NWMOはこうした調査にはさらに数年を要すると予想しているが、技術的に廃棄物の安全な処分が可能で、同計画を良く理解した上で受入れを承諾してくれる候補地を1つに絞り込むため、作業を推し進めていく考えだ。

 カナダでは稼働中の加圧重水炉19基から出る使用済み燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物としてサイト内で30年間、集中貯蔵所でさらに30年間保管した後、地下500メートルの深地層に最終処分する方針。2007年に連邦政府が最終決定した同方針に従い、処分の実施主体であるNWMOが2010年5月からサイトの選定プロセスを開始していた。予備評価は9ステップで構成される同プロセスの第3ステップにあたり、処分場計画に当初、関心表明した22地点の自治体のうち21地点が初期選定で良好と判定され、予備評価の実施を要請。NWMOは第1段階の作業として、候補地における環境影響や住民の安全性、エンジニアリング、廃棄物の輸送条件、地層科学的適性など、処分場の厳格な安全要件を満たすことが可能であるかに関する机上調査を行った。自治体側も、この段階で同計画に対する理解を深めるとともに、同計画が自治体の福利促進に役立ち、その長期的なビジョンに合致するか検討した。

 セントラルヒューロンにおける第1段階調査で、NWMOは処分場の選定要件を満たせる可能性が高いと判定。後続調査の対象として特定した。しかし、予備調査での判明事項はサイトの技術的適性と安全性を確証するものではなく、このような初期段階においては同地の自治体も処分場受入れの意志を問われることはない。第2段階の調査としては、地層科学や環境面に焦点を当てた予備的なフィールド調査や予備的安全評価、社会経済学的および文化的な詳細調査などを実施予定。候補地内に居住する先住民族や周辺エリアなど影響を受ける可能性がある自治体にも作業の焦点が広がるほか、自治体側も同計画について一層深く関わっていくことになるが、最終的な合意文書に署名するまではプロセスのいかなる段階でも、同計画への関与を打ち切ることが可能だ。