ルーマニア:チェルナボーダ3、4号機完成計画で中国と了解覚書

2015年11月10日

©CGN

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 ルーマニアの国営原子力発電会社(SNN)は11月9日、チェルナボーダ原子力発電所3、4号機の設計・建設・運転・廃止措置に関する協力について、中国広核集団有限公司(CGN)と了解覚書に調印したと発表した(=写真)。SNNはCGNの出資協力により、途中まで建設した両炉を完成させる計画を進めており、同覚書はSNNとCGNが共同で同計画を実行する将来的な方向性を定める内容。ルーマニア政府は同計画を政府戦略の一部と位置付けていることから、9月に同覚書の締結を承認しており、SNNの株主も10月21日の臨時総会で承認していた。同覚書により両社は今後、正式な投資協定の締結に向けた協議と、CGNが少なくとも51%出資する合弁企業の定款について交渉を開始。3、4号機完成計画への投資構造などを決定した後、同合弁企業は新たなプロジェクト会社として発足する見通しである。

 3、4号機の建設工事は、チャウシェスク政権崩壊にともない1991年に作業が停止。それぞれ15%と14%完成しており、これらを完成させるという政府決定を受けたSNNは、2009年にプロジェクト会社としてエネルゴニュークリア社を設置した。しかし、同社への出資を約束していた欧米企業6社がすべて撤退したことから、SNNは新たな投資家を模索。2011年10月にCGNが出資参加に関心表明したのに続き、2014年9月には投資資格を有する企業として同社を認定していた。

 同計画では、カナダ・SNCラバリン社製の70万kW級加圧重水炉「CANDU6」の採用が決まっており、30年の運転期間終了後は25年の期間延長も視野に入れている。SNNは両炉の完成によって、CO2排出削減目標を達成しつつエネルギー供給を保証し、バランスの取れたエネルギー・ミックスを通じて合理的な安定価格で電力を消費者に提供するなど、エネルギー供給システムにおける長期的な必要性を満たすことが可能だと指摘。それと同時に、国内原子力産業界に新たな雇用が創出され、投資家には魅力的な経済的・技術的環境が整うなど、政府やSNNにとって二重の利益になるとの見解を示している。CGN側も今回の覚書締結について、10月に英国ヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画への投資が決まったのに続き、欧州市場で獲得した新たな勝利だと評価。中国の投資と優れた運転管理経験を中・東欧諸国に投入し、これら諸国の戦略的パートナーとして互恵的な関係を将来的に築いていきたいとの抱負を述べた。