ウクライナ:原子力発電設備の安全性改善などで仏アレバ社との協力強化
ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は11月4日、国内の既存炉15基や将来的に建設する原子炉で安全性の改善や運転期間の延長、性能合理化を図るため、仏アレバ社との協力を強化する了解覚書を同社と締結した(=写真)。具体的な対象分野は、原子炉の保守点検や電気システム、フィルター付きベント・システム、機器や資材の経年管理などとなっている。アレバ社は今回の覚書調印により、長年にわたる両者の協力関係も新たな段階に進んだとコメント。ウクライナで稼働するロシア型PWR(VVER)も含め、同社がすべての型式の原子炉に様々なサービスを提供できることが実証されたと自信を深めている。
ウクライナではクリミアの帰属問題や天然ガス紛争など、ロシアとの軋轢が拡大。親ロシア派だったヤヌコビッチ大統領の亡命後、政府は親欧米派のヤツェニュク首相が主導している。エネルゴアトム社も近年とみに欧米原子力企業との連携を強めており、昨年8月にチェルノブイリ原子力発電所の南東部で、米国のホルテック・インターナショナル社に発注した使用済み燃料の敷地外・集中中間貯蔵施設(CSFSF)の起工式を行ったほか、昨年12月には原子力発電所用核燃料の購入量を大幅に増加することでウェスチングハウス(WH)社と合意。ベルギーのブリュッセルには同社のEUオフィスも1年前に設置した。ヤツェニュク首相も今年7月、建設途中だったフメルニツキ原子力発電所3、4号機の完成計画について、ロシアと2010年に結んだ協力協定の解除を議会に提案。議会は9月に同協定の廃棄法案を可決している。