米サリー原子力発電所:80年間の運転念頭に2度目の運転期間延長申請へ

2015年11月12日

サリー1、2号機はそれぞれ、1972年12月と1973年5月に営業運転を開始©ドミニオン社

サリー1、2号機はそれぞれ、1972年12月と1973年5月に営業運転を開始©ドミニオン社

 米ドミニオン社の子会社であるドミニオン・バージニア・パワー社は11月6日、バージニア州で操業しているサリー原子力発電所(80万kW級PWR×2基)(=写真)について、2度目の運転期間延長を申請する意向を米原子力規制委員会(NRC)に伝えたと発表した。同発電所の2基は2003年3月に初めて、NRCから20年間の運転期間延長を許されており、それぞれ2032年と2033年まで運転が可能。運転開始当初の認可である40年と合わせた運転認可期間は合計60年となっている。2度目の申請が許可されれば、1、2号機の運転認可はそれぞれ2052年と2053年まで延長され、米国で初めて80年間運転を継続することになる。

 この計画については同社のD.クリスチャンCEOが、同日に開催されたホワイトハウス主催の原子力の将来に関するシンポジウムで表明した。同社は現在、認可更新にともなう技術的側面すべてに関するレビューを実施中だが、申請書を2019年に提出するという計画のなかで、現時点では大きな障害は何も見当たらないとした。これを進めていくには、NRCが申請書審査に要する人員配置を計画できるよう意向表明書(LOI)の提出に加え、今後は同社取締役会の承認も得る必要があると説明している。

 クリスチャンCEOによると、サリー発電所の運転期間延長は顧客や地元の経済および環境にとって良いニュースであり、顧客は同発電所が今世紀半ばまで発電する安全かつ信頼性のある低コストの電力を享受できる。地元バージニア州にとっても、高報酬の雇用を950人分以上確保できるほか、継続して税収入が得られるなど、同州の経済成長を促進できるとの見解を表明した。同CEOはまた、原子力発電所は米国の低炭素発電における重要要素であり、サリー発電所の場合は州内の電力需要の2割を賄っている事実に言及。CO2排出量を低減するという同州の目標達成にも貢献していると強調した。