フィンランド:世界で初めて使用済み燃料の地層処分場計画に建設許可発給

2015年11月13日

地層処分場の概念図©ポシバ社

     地層処分場の概念図©ポシバ社

 フィンランド雇用経済省(TEM)は11月12日、国内2つの原子力発電事業者の合弁企業であるポシバ社がユーラヨキ地方のオルキルオトで進めている使用済み燃料の深地層処分場計画に対して建設許可を発給した。この種の施設に建設許可が与えられたのは世界で初めてのことで、同社は2016年末にも最大6,500トンのウラン処分が可能な同施設の建設工事を開始し、2023年には操業可能な状態とする計画。総工費は約30億ユーロ(約4,000億円)になると伝えられている。

 ただし政府は、今回の建設許可に条件を付けており、ポシバ社が運転許可を申請する際は、同施設が環境に及ぼす影響や廃棄物を必要に応じて回収する能力、関連の輸送リスクを改めて分析するよう指示。プロジェクトに変更が生じた場合の分析結果についても提出を義務付けた。TEMのO.レーン大臣は、「建設許可の発給はフィンランドが責任を持って原子力発電を利用するための重要なステップ」とコメント。最終処分の長期的な安全性を確保することは非常に重要であるとし、処分場の操業期間中を通じて監視する必要性に言及した。また、放射性廃棄物管理のパイオニアとして、フィンランドには将来的な安全性と責任の問題に対処する義務があるとした一方、国外の廃棄物管理施設開発でフィンランドが専門的知見を活用する商業的機会も生まれるとの見解を表明している。

 フィンランドでは原子力発電所から出る使用済み燃料は再処理せず、高レベル放射性廃棄物として深地層に直接処分する方針。そのための施設は地下400~450メートルの岩盤に廃棄物を埋設する地下施設と、地上で廃棄物を銅製の専用キャニスターに封入する施設で構成され、両施設は専用リフトで相互接続する。また、岩盤とキャニスターの間の緩衝材にはベントナイト粘土を使用する計画だ。

 オルキルオトとロビーサの両原子力発電所をそれぞれ運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社は、これら発電所からの使用済み燃料最終処分の実施主体としてポシバ社を設立し、2000年にオルキルオト発電所の近郊エリアを建設サイトに選定した。政府は同じ年にこの最終処分プロジェクトを「原則決定(DIP)」しており、議会も2001年に同DIPを承認。ポシバ社は2012年12月に深地層処分場の建設許可を政府に申請した。その後政府は、原子力法に則って同プロジェクトに対するコメント収集を含む審査手続を実施。規制当局である放射線・原子力安全庁(STUK)は今年2月、「長期的に安全な施設として建設し得る」との見解をTEMに提出していた。

 建設許可が発給されたことについてポシバ社は、「使用済み燃料の安全な最終処分方法を当社が40年以上にわたり広範かつ学際的な研究開発を積み重ねてきた努力が認められた結果だ」と指摘。サイトではすでに、地下岩盤の特性調査施設「ONKALO」を通じて様々な研究成果と経験が得られていることから、それらに基づき同処分場の建設計画を前進させるとの決意を表明した。