南アと中国:規制当局間で規制課題に関する協力協定締結
南アフリカ共和国の国家原子力規制局(NNR)は11月16日、原子力規制に関する政府間協力協定を中国の国家核安全局(NNSA)と締結したと発表した。南アでは1980年代からクバーグ原子力発電所で2基の原子炉(各97万kWのPWR)が稼働しているのに加え、「2010年~2030年までの統合資源計画」に基づいて960万kW分の原子力発電設備新設を検討中。一方の中国が原子力発電所を導入したのは1990年代半ばと後発だが、すでに27基、約2,600万kWが営業運転中であるほか、独自開発した第3世代原子炉設計の海外展開を積極的に進めている。中国はまた、南アが新設炉のベンダー候補を有する国として政府間協力協定を結んだ5か国に入っていることから、様々な分野を通じて関係を強化する狙いがあると見られている。NNRの発表によると、同協定の調印は12日に北京で両機関の上級幹部が行った(=写真)。双方の関心課題が多々ある中で、早急に協力と実用的な情報交換を行う分野としては次の点を挙げた。すなわち、罰則/罰金システムなど規制違反に対する執行活動、許認可手続、ベンダーの査察、査察官の訓練と共同査察、およびNNRの研究拠点における技術支援協力などである。
NNRは、中国が2020年頃までに原子力発電設備を3倍以上に拡大することを計画しているだけでなく、西側諸国の技術をフルに導入・活用・改善しながら原子炉の設計・建設や燃料サイクル分野でも自給自足化を促進している点に言及。原子力安全分野においても、同国は世界で最も厳しいレベルへの到達を目指しているとし、今回の協定締結は、NNRが世界の原子力産業や規制機関で適用されている最良の基準や慣行に沿った規制を採り入れる上で、貴重なメカニズムになると強調した。