ウクライナ:チェルノブイリの使用済み燃料中間貯蔵施設にキャニスターの初回バッチ到着

2015年12月1日

サイトに到着したキャニスター©ChNPP

サイトに到着したキャニスター©ChNPP

 ウクライナ国営のチェルノブイリ原子力発電所・運営専門会社(ChNPP)は11月26日、同発電所1~3号機(80万~100万kWの軽水冷却黒鉛減速炉)の使用済み燃料を封入するキャニスター(DWC)の初回(試験)バッチ10台が24日から25日にかけて、発電所サイトに到着したと発表した。同サイトで新たに建設中の乾式中間貯蔵施設(ISF-2)で使用されるもので、建設工事を請け負った米国のホルテック・インターナショナル社が米ピッツバーグの製造部門から輸送した。来年2月には次のバッチとして5台が到着予定で、ISF-2がホルテック社から正式に引き渡されるまでに、合計231台のDWCのうち、同施設・第1段階分の85台が持ち込まれる計画。ISF-2の建設工事は終盤に近づいており、2017年から2019年までにはすべてのDWCが到着することになるとしている。

 同発電所では、1986年に事故を起こした4号機の石棺を覆う新たな閉じ込め構造物(NSC)を建設中。これと同様に、1996年から2000年にかけて閉鎖した1~3号機の使用済み燃料を既存施設から時宜を得て取り除くことは、同発電所で廃止措置を行う上での重要課題となっている。これら3基の使用済み燃料集合体21,000体と追加吸収材2,000個は今のところ、サイト内の湿式中間貯蔵施設(ISF-1)と冷却プール内に貯蔵中だが、ISF-1の貯蔵能力ではすべての燃料を長期的に貯蔵することはできない。こうした見通しから、ウクライナ政府とChNPPは1996年11月、ISF-2を含む同発電所廃止措置関連施設の建設費を調達する協定を欧州復興開発銀行(EBRD)と締結。この協定は翌年にウクライナ議会が承認しており、ChNPPは2007年にホルテック社と契約を結んでISF-2の建設に着手していた。

 ISF-2施設は、廃棄物のパッケージングと貯蔵準備を行う設備(ISFPS)と、廃棄物を実際に貯蔵する設備(SFSZ)で構成され、二重壁構造のDWCを水平定置するコンクリート製の貯蔵モジュール(CSM)は、廃棄物を不活性ガス環境下で100年間貯蔵出来るよう設計されている。ChNPPは2013年2月、ISF-2の第1段階部分の試運転と第2段階部分の建設活動に関する許可をウクライナ国家原子力規制検査庁(SNRIU)から取得。2014年7月には、SNRIUが承認したDWC受入試験プログラムに基づき、試験バッチのテスト中に露呈した不備や技術仕様書を修正すればDWCの連続生産開始が可能であることを実証していた。DWCを生産・供給する技術仕様書は2015年7月にSNRIUが承認しており、ホルテック社は現在、DWCの連続生産を進めている。