ベルギーENGIE社:ドール1、2の運転期間延長条件などで政府との協定に調印
ベルギーの原子炉全7基を所有するENGIE社(旧・GDFスエズ社)は12月1日、ドール原子力発電所1、2号機(各46万kWのPWR)の運転期間10年延長と、その他の原子炉の運転にともなう新たな課税システムについて、連邦政府との合意事項を明記した協定に11月30日付けで調印したと発表した。ベルギーでは2003年の脱原子力法により、原子炉の運転期間は40年に制限されているが、同協定により、今年2月に運転開始後40年が経過して送電網から解列されたドール1号機、12月1日付けで40年目を迎えた同2号機は、国内電力需要の45%を担う重要電源の一部として2025年まで運転継続が可能になった。同協約は今後、議会の承認を得る必要がある。
今回の協定の内容は、両者が7月末時点に原則合意した事項をほぼ踏襲。すなわち、ドール1、2号機については、ENGIE社の子会社であるエレクトラベル社が2016年から2025年まで毎年の均一料金として2,000万ユーロ(約26億円)を支払うが、これらは今年6月の制定法に基づいて創設された「ベルギー・エネルギー移行基金」に積み立てられる。同国が脱原子力の達成を予定する2025年以降を見据えて、エネルギーの生産と貯蓄分野における研究開発促進や革新的プロジェクトに活用されることになる。
ドール3、4号機とチアンジュ原子力発電所2、3号機については、一括支払額として2015年に2億ユーロ(約260億円)、2016年に1億3,000万ユーロ(約170億円)を支払う予定。2017年以降はコストの変化や発電量、電力価格を考慮した計算式に基づき、連邦政府が税額を改定するが、2017年から2019年までの間は年間の最低額を1億5,000万ドルとした上で原子力発電部門の利益の34%相当を充てる。2020年以降は3年毎に電力・ガス規制委員会(CREG)による監督の下、その時の経済状況に応じて最低額を決めることになった。また、前政権が運転期間を2025年まで10年間延長を決めたチアンジュ1号機については、所有権の一部をフランス電力(EDF)が保有していることから、ENGIE社と連邦政府およびEDFが協議の上、運転条件を決めるとした。
今回の協定についてENGIE社は、「将来に向けた確固たる法的かつ経済的な枠組」と評価。同協定に基づいて、同社は今後ドール1、2号機の運転期間延長に7億ユーロ(約914億円)を投資するほか、チアンジュ1号機の運転期間延長には6億ユーロ(約784億円)を投資するとしている。