仏アレバ社:スーパーフェニックス・原子炉容器内構造物の解体契約を受注
仏アレバ社は12月1日、フランス北部のクレイマルビルで1998年に閉鎖された高速増殖実証炉「スーパーフェニックス」(出力124万kW)(=写真)の原子炉容器内構造物を解体する契約をフランス電力(EDF)から獲得したと発表した。契約総額は「数千万ユーロ」で、具体的な作業項目は予備的な作業計画の策定、適格性の確認プロセス、工具の製造、および機器の解体などとした。高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む廃棄物のパッケージングも行う予定で、同社の解体・サービス事業部門が2024年までの期間に実施。ピーク時には50人以上の従業員を動員するとしている。同社によると、スーパーフェニックスの容器内構造物の切断作業は2つの意味で例外的だ。すなわち、100万kW以上の原子炉で機器を解体するのはフランス国内では初めてであり、作業員は専用に開発した最先端技術を活用する計画。作業環境が放射線影響下であることから、ロボットやマニピュレーター・アームなどの遠隔操作機器のみを使用する。その上、様々な機器を正確に切断する必要があるなど、作業内容も非常に複雑なものになる。同社の技術チームはレーザー切断アームのほかに、構造物の形状に沿った遠隔操作を可能にする軌道モニタリング・システムを開発したと説明している。
フランスでは、クローズド燃料サイクル戦略を持続可能な原子力開発のカギの1つと捉えており、高速増殖炉(FBR)はこれを長期的に支える要という位置付け。このため、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)が1950年代に高速炉開発に着手しており、FBR原型炉のフェニックス、実証炉のスーパーフェニックスと歩を進めた。スーパーフェニックスは1986年に本格的な運転を開始したが、冷却材漏れや発電機故障などのために幾度となく運転を停止。1998年に緑の党を交えた当時の左翼連立政権が閉鎖させるにいたった。
しかしCEAは現在、将来に備えた高速中性子炉として(1)ナトリウム冷却、(2)ガス冷却--の2タイプについて開発を進めており、ナトリウム冷却型ではスーパーフェニックスで得られた経験を元に「ASTRID炉」の開発を展開中。主たる目的は、長寿命のHLWを核変換して放射性毒性を下げ、最終処分場の使用面積を大幅に下げること。2012年に予備設計・第2フェーズへの移行が決定した後、2015年からは詳細設計に入ったと見られている。