英国:閉鎖済みの高速原型炉から未使用燃料をセラフィールドに移送
英国スコットランド北部にあるドーンレイ原子力複合サイトの廃止措置事業を運営管理しているドーンレイ・サイト復旧会社(DSRL)は12月7日、高速原型炉(PFR)用に製造した未使用燃料の最初のバッチを無事にセラフィールドに移送したと発表した。今年初頭、同じサイトにある高速実験炉(DFR)から増殖材を移送する作業の第1段階が成功裏に完了したのに続くもの。同サイトの閉鎖後、これを60年以内に除染・復旧させるために英国原子力公社(UKAEA)が2001年から開始した計画(DSRP)の一部として行われている。同サイトではPFRとDFR、および材料実験炉(DMTR)に加えて、広範な燃料サイクル施設が閉鎖されたが、総額3億3,800万ポンド(約624億円)と見積もられたPFRの廃止措置は2026年の完了を目指して進展中となっている。電気出力25万kWのPFRは、DFRに続いて建設された英国で最後の高速炉で、1974年に初臨界を達成した。発電のほかに、将来的に大型の商用高速炉を設計・運転するための情報収集という研究開発的役割を担ったが、英国政府は「差し迫った開発の必要性は少ない」として高速炉開発の棚上げを決定。PFRは1994年に閉鎖された。その後、1次系と2次系に充填されていた金属ナトリウム約1,500トンはすべて抜き取られ、PFR敷地内に建設した世界最大級の液体金属破壊工場において破壊作業が2008年8月に完了。次のステップとして、ナトリウム残渣の浄化や、原子炉容器の解体と並行して構造物の解体を行うことになる。
具体的な作業は次の通り。
・原子炉容器の解体施設と関連する廃棄物の取り扱い施設の設計・建設と運転、
・廃棄物の減容施設、解体作業で生じる中レベル廃棄物と主要機器をパッケージングする工場の設計・建設と運転、
・すべての残存施設と建屋の解体・廃止措置、
・原子炉容器を設置していた直径13メートル、深さ約18メートルのスペースを含め、様々な大きさの地下構造物エリアの埋め戻し、
・敷地を再利用可能な状態に戻す作業、--など。