バングラデシュの代表団、同国初の原子力発電所建設を請け負ったロシアの発電所を視察

2015年12月10日

©ロスアトム社

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 ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は12月4日、ロシア型PWR(VVER)を輸出予定のバングラデシュから代表団が1日から3日までロシアを訪問し、同国内の原子力関連施設を視察したと発表した(=写真)。バングラデシュでは1960年代から原子力発電所建設構想が立ち上がっていたが、独立戦争や資金調達の問題等により何度か頓挫。2013年にロスアトム社と結んだ技術契約により、首都ダッカから160キロメートル離れたルプールで100万kWのVVERを2基建設することが決定したほか、準備作業にロシアから5億ドルの融資を受ける政府間協定も締結した。悲願とも言える原子力発電の導入に先立ち、バングラデシュの科学技術相や立地点の自治体幹部、および報道メディアらは、発電所の実際の運転に関する詳細や地元住民関連でどのような措置が取られるか、などについて学んだ。

 代表団はまず、ロスアトム社傘下のエンジニアリング企業であるNIAEP―ASE社のモスクワ事務所を訪問。同社のVVER技術や関係プロジェクトを紹介されたほか、熱帯の高温・多湿環境にある国での原子力発電所建設の原則に関する解説を受けた。その後、南西部にあるノボボロネジ原子力発電所で稼働中の5号機と、6、7号機の建設サイトを視察。地元市長と会談する場も設けられ、地元民と発電所職員の生活水準向上のために、市政と原子力発電所の運営の中で行われている協働努力について市長から詳細を聞いた。ノボボロネジ市長は「50年もの間、発電所が円滑に稼働しているということは、この施設がいかに信頼出来るかという証拠だ」と断言。同市において原子力発電所は生態学的に最もクリーンな電源であり、その近隣に生活できることを誇りに思うと述べた。

 これに対し、代表団の団長を務めたバングラデシュの科学技術相は「ロシアの協力により最初の原子力発電所導入を計画する我々にとって、発電所の運転に関するすべての側面を勉強することは非常に重要」と強調。原子力発電所を安全かつ自信を持って建設するだけでなく、原子力シティを構築しようと考えているため、このような知識は広く国民と共有していきたいとの考えを明らかにした。