南アの最高裁、クバーグ原子力発電所の取替用SG入札訴訟でWH社の訴えを支持

2015年12月11日

 南アフリカの最高裁判所は12月9日、クバーグ原子力発電所(97万kWのPWR×2基)向けの取替用蒸気発生器(SG)供給契約を巡る訴訟で、ウェスチングハウス(WH)社の訴えを支持する判決を下した。ただし判決文は、WH社が求めていた、6台の取替用SG供給で50億ランド(約400億円)という同契約の受注について判断しておらず、訴訟に要した弁護士3人分の経費を保証したのみ。同発電所の事業者である南アフリカ電力公社(ESKOM)に対して、発注先の見直しを指示するに留まった。ESKOM社は2014年8月に同契約の発注先として仏アレバ社を選定。2018年に予定している同発電所の計画停止に取替用SGの調達が間に合うよう、すでに契約に基づく作業を進めている。このため、WH社では今回の判決内容を吟味中であると伝えられている。

 WH社の申し立てによると、取替用SGの入札において同社はアレバ社より1億4,000万ランド(約11億円)安い価格を提示したほか、入札基準の1つであった地元サプライヤーへの貢献分としてアレバ社より1億5,700万ランド(約12億円)高い価格を提案した。それにも拘わらずESKOM社・理事会の入札委員会(BTC)は、アレバ社が提案した3か月の猶予期間など、入札基準とは関係のない非合法の「戦略的配慮」に基づいてアレバ社を選定したとWH社は主張。すぐさまESKOM社とアレバ社による契約締結が阻止されるよう、ヨハネスバーグにある高等裁判所に提訴した。しかし、今年3月に同裁判所がこの訴えを棄却したことから、WH社は6月、アレバ社への落札決定が見直され、自らが落札企業として選定されることを求めて最高裁に上訴していた。

 最高裁のC.ルイス裁判長は判決文のなかで、戦略的配慮により入札の最終判断が下されたとするWH社の申し立てを支持。同社には訴訟経費が支払われるとした一方、アレバ社による交差上訴を棄却すると裁定しており、下級審による命令は破棄すると明言している。