台湾電力:第4(龍門)原子力発電所の建設契約紛争を国際仲裁裁判所が調停

2015年12月15日

 台湾電力は12月11日、第4(龍門)原子力発電所の建設契約を請け負っている米GE社が実施済み作業分の支払を求めて、9月に国際商業会議所(ICC)香港支部で国際仲裁裁判所の調停を申し入れていたことを明らかにした。同発電所では台湾住民による反原子力運動の高まりから、ほぼ完成していた1号機で安全検査を行った後、今年7月から密閉管理としたほか、建設途中だった2号機の作業も凍結。馬英九総統は2014年4月、「これらを将来的に稼働させるかについては国民投票を実施して決定する」との考えを表明していた。今回の発表によると、台湾電力はGE社の申し立てを受けて、12月にICCに対して答弁ファイルを提出。双方が仲裁人を選定した後、審理が開かれることになるとしたが、詳しい日程やGE社から支払を求められている金額については明言を避けた。一方、この契約紛争が龍門発電所の密閉管理状況に影響を及ぼすことはないと繰り返し強調している。

 現地の報道では、台湾電力の蔡富豊副社長が同日の原子能委員会で、「支払うべき金額がまだ明確になっていない」と述べた模様。支払を拒否するつもりはないが、どのタイミングでいくら支払うか決まるまでは差し控えるとしたことが伝えられている。また、発電所の密閉管理が決定した時点でGE社が完了していた作業の経費は、2,840億台湾ドル(約1兆460億円)に達すると見られている。

 台湾で4番目の原子力発電所となる龍門発電所は、1999年にGE社が主契約者として建設工事を開始。1、2号機の圧力容器はそれぞれ、バブコック日立と東芝が受注したほか、タービン発電機については三菱重工が受注していた。当初の計画では1号機は2006年、2号機は2007年の営業運転開始が予定されていたが、政治環境の変化や法的、規制上の遅れ等により、日程は大幅にずれ込んでいる。