ベルギーのチアンジュ2号機が21か月ぶりに再稼働

2015年12月17日

 ベルギーのエレクトラベル社は12月14日、インターネットの「ツイッター」で、チアンジュ原子力発電所2号機(PWR、105.5万kW)を同日午後9時21分に再び送電網に接続したと発表した。同炉が稼働するのは約21か月ぶりで、安全に起動した後、順調に出力が上昇中だとしている。

 同炉では2012年の定期検査で、ドール原子力発電所3号機(PWR、105.6万kW)と同じく鋼製の原子炉容器(RV)からヒビの兆候が検知された。原因はRVの鋼製リング鍛造時に材料中の水素が偏って生じた「白点」で、これが微少な気泡を生み、長さ12~16ミリメートル、タバコ紙ほどの厚さの薄層状になったものと判明した。ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は、同社が同年12月に提出した両炉の安全性保証文書(セーフティケース)を分析した結果、2013年5月に両炉の一時的な再稼働を条件付きで許可。これを受けて2基の原子炉は再稼働を果たしたが、水素白点のある試料で行った機械的耐性試験で理論モデルよりも放射線の影響を強く受けるとの暫定結果が出たため、エレクトラベル社は両炉の停止日程を前倒しして、2014年3月から第2シリーズの試験に入っていた。

 その後FANCは、同社が今年7月と10月に提出した新しいセーフティケースを国内外の数多くの専門家に提示して意見を収集した。自らも集中的に同文書を分析した結果、11月17日に「微少気泡が原子炉の安全性に悪影響を及ぼさないことを確信する」との見解を表明。エレクトラベル社では両炉を再起動する準備を開始していた。ドール3号機についても、今月末までに再起動すると見られている。