ベルギー規制当局:運転期間を終了したドール1、2で2025年まで10年の期間延長を承認
ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は12月22日、脱原子力法の定める40年の運転期間を終えたドール原子力発電所(=写真)1、2号機(各46万kWのPWR)について、2025年まで10年間運転期間を延長することを承認した。両炉はそれぞれ、運転開始後40年目に当たる今年2月15日と12月1日に運転を停止。しかし、国内の原子炉全7基は総電力需要の46%を賄う重要電源であることから、現政権は2014年末に両炉の運転期間を延長する方針を表明していた。FANCが安全性を保証することを条件に、両炉で継続運転が可能になるよう、今年6月に脱原子力法を一部修正する法案を成立させており、事業者のエレクトラベル社も今後10年間、両炉で安全要件を満たしていくための行動計画を4月にFANCに提出。FANCは技術支援組織の「Bel V」とともにこれを審査し、10月初頭に同計画を条件付きで承認するとしていた。今回FANCは、運転期間延長の条件として追加した「長期的な運転の再開前に行動計画におけるすべての優先項目を完了」を、エレクトラベル社が実施済みであることを確認した。具体的な優先項目は、長期の運転に備えて安全関連システムや構造物、機器類が適切に機能するよう実証すること。とりわけ、両炉の原子炉容器(RV)に毛状ヒビの原因となるような水素白点が存在するか点検することだったが、その結果からFANCは、両炉のRVが健全な状態にあり、安全要件に合致していると結論付けた。エレクトラベル社は優先項目をすべて完了した後、状況報告書をFANCに提出しており、「Bel V」は同報告書をチェックした上で優先項目が正しく実施されたことを確証。これによりFANCが両炉の再稼働を承認したもので、数日以内に両炉は送電網に再接続されることになるとしている。
このほか、両炉の運転期間を延長する条件として新たな課税システムが施行される予定で、エレクトラベル社の親会社であるENGIE社は12月1日、エレクトラベル社が2016年から2025年までの年間均一料金として2,000万ユーロ(約26億円)を支払っていくとする協定を政府と調印。これらは「ベルギー・エネルギー移行基金」に積み立てられ、同国が脱原子力を達成予定の2025年以降を見据えて、エネルギーの生産と貯蓄分野における研究開発促進や革新的プロジェクトに活用される計画だ。
なお、エレクトラベル社は12月21日付けの「ツイッター」で、ドール3号機(105.6万kW、PWR)が約21か月ぶりに再起動したことを明らかにした。同炉は2012年の超音波探傷検査で、チアンジュ2号機(105.5万kW、PWR)とともにRVからヒビの兆候が検出されており、エレクトラベル社はFANCの許可を受けて両炉を一旦再稼働させた後、2014年3月に停止して追加の試験を実施していた。これらの結果に基づき、同社は今年7月と10月に両炉の新しい安全性保証文書(セーフティケース)をFANCに提出。FANCは同文書を徹底分析した後、11月に「ヒビの原因物質が原子炉の安全性に悪影響を及ぼさないことを確信する」との見解を発表した。エレクトラベル社はこれを受けて、12月14日にまずチアンジュ2号機を再起動。ドール3号機も現在、順調に出力を上げているところだと説明している。