スイスBKW社:2019年までに閉鎖予定のミューレベルク発電所で廃止措置申請
スイスのBKW社は12月18日、同社が操業中のミューレベルク原子力発電所(KKM)(BWR、39万kW)について、廃止措置申請書を連邦政府の環境運輸エネルギー通信省(DETEC)に提出したと発表した(=写真)。同社は当初予定より3年前倒しの、遅くとも2019年12月までにKKMを閉鎖する方針を2013年に公表。今回の申請により、原子炉の永久閉鎖とそれに続く廃止措置プロセスがスイスで初めて開始されたことになる。当局は今後、数か月かけて同申請書に不備がないかを点検し、2016年4月から1か月間、パブリック・コメントに付す予定。BKW社としては2018年半ば頃には廃止措置命令が出ると見込んでいる。廃止措置の申請には、法的な申請文書に加えて廃止プロジェクトの概念的枠組を詳細に記したメインの報告書が必要。さらに、(1)事故分析、(2)緊急時の防護対策、(3)環境影響とセキュリティ--をカバーする3つのサブ報告書を提出しなければならない。BKW社の最優先事項は、操業時と同レベルの安全性と効率性を閉鎖と廃止措置の期間中も保証することであり、廃止措置活動と廃棄物処分を行う際は常に、周辺住民と従業員の安全、および環境保全が主たる懸案事項である点を強調した。閉鎖時期を早めた関係もあり、廃止プロジェクトを進めるのに必要な文書は時間的余裕を持って作成・提出したと説明。諸外国の例では、技術的な課題よりも法的手続が廃止措置プロセスを大幅に遅らせていることも理由として挙げた。
スイスでは福島第一事故後の2011年5月、連邦政府が国内の原子炉全5基について平均稼働年数を50年と設定した上で、これらを2034年までに段階的に閉鎖する政策を発表。KKMは運転開始後50年目にあたる2022年まで運転可能と見られていたが、「炉心シュラウドにヒビがある」として周辺の反対派住民が提訴するなど、様々な課題により運転可能な期間が二転三転した。BKW社はKKMの長期運転にともなう規制面や技術面、政治経済的な各側面を熟慮した結果、これらにおける不確定要素が経済リスクを増大させる可能性があるとして早期の閉鎖を決めた。